妻と触れ合いたくて押し倒したら、会社に弁護士がやって来た 「触れない不倫」でも満たされない40歳夫の孤独

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父はどんな思いで接してきたのか

 隆行さんは混乱した。父は知っていて、どうして知らないふりができたのか。両親は仲がよかった。どうして父は母を許せたのか。次から次へと疑問がわいた。

「父は訥々と語りました。『おまえが生まれてから、仕事が忙しくてなかなか家庭を顧みることができなかった。飲み明かして朝帰りもあったし、正直言って浮気したこともある。初めての子を抱えて大変な思いをしているおかあさんの気持ちを考えたこともなかった』と。そしてあるとき、母は妊娠を告げた。でも当時の父は出張が多く、1年以上、母との交渉はなかった。それなのに母は平然と妊娠を告げた。おかあさんが怖かったと父は言っていました。女は怖い、と。何も言えないまま、娘が生まれたが、生まれてみたらとてもかわいい。大きくなるにつれ、娘が自分にまったく似ていないと思うようになったが、その気持ちを振り払うように娘をかわいがったそうです」

 ただ、数年前、ふと思い立って、遺伝子検査を依頼してみた。妹本人には内緒だった。親子関係はないという結果が出た。やっぱりという気持ちはあったが、それでもいいじゃないかという思いのほうが強かった。娘はオレの子だ、と父は言った。

「おかあさんを責めるな、何も言うなと父は言っていました。わかったというしかなかった」

自分の子じゃなくてもかわいかったのか、と父に尋ねると…

 思い起こすと、父は妹をかわいがっていたが、母はときどき妹に当たり散らすことがあったような気がすると隆行さんは言った。母は、父が自分の子ではないとわかっていることを感じていたのだろう。わかっているのに何も言わない父が、自分の子ではない娘をかわいがることを嫌がらせのように感じたのか、あるいは罪悪感にさいなまれていたのか……。そのあたりは彼にはわかりかねた。

 ただ、妹自身は自分が出産してから、何かが吹っ切れたようにサバサバした女性になっているのが隆行さんには不思議だったのだが、それも少し納得がいった。

「自分の子じゃなくてもかわいかったのかと父に聞きたかった。聞こうとして、ふっと父のほうに顔を向けたら、父の横顔が妙に孤独そうに見えて言葉が出ませんでした。父には父の覚悟があったんだなと。その日、母に電話をかけました。『妙なこと言ってごめん』と謝ったんです。母は『あのね』と何か言いかけたけど、『もういいんだ。今度、また行くよ』と切りました。母の言い訳など聞きたくなかった。父の覚悟が台無しになるから……」

 彼自身も、なかなか気持ちの整理がつかなかった。

「なんだかもう、麗子の母親の話から、うちの両親の話まで、何もかもがドカンドカンとやってきて、僕はひゃーひゃー言っているだけでしたね、あのころは。妹の件は麗子には何も言いませんでした」

どうしても妻と触れあいたくなって…

 ある日、隆行さんは突然、麗子さんの寝室へ行った。常日頃、寝室は別にしているのだが、どうしても妻と触れあいたくなったのだ。自分でも何をしているのかわからなかった。妻はドアを開けてくれたが、彼の目を見て後ずさった。

「凶暴な気持ちになったわけではないんですが、妻を思わずベッドに押し倒してしまった。どうしたのよと激しく抵抗されましたが、彼女のパジャマの胸を開こうとしてボタンが飛び散りました。胸に手を伸ばすと、彼女は叫び声を上げて僕を突き飛ばした。それでハッと我に返りました」

 妻の罵声を浴びながら、彼は自室に逃げ帰った。手に妻の柔らかな肉の感触が残っていた。もっと触れたいと切実に思った。

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