「VIVANT」は「海外の配信ドラマ」級の「最高水準」 それでも前シーズンと比べて「ワクワクしない」の声が出るワケ
東条は裏切り者?
怪しい人物は警視庁内にもいる。野崎の支配下で仕事をしている警視庁サイバー犯罪対策課の捜査員・東条翔太(濱田岳)である。第12回で新庄の逃亡について公安捜査員たちが話し合っている際、東条は「新庄って、あのベキ様を脱獄させた…」と口走った。テロ組織の親玉に「ベキ様」は引っかかる。
もっと不審なのは東条の部屋が様変わりしたこと。S1での東条は「ウルトラマンシリーズ」オタクで、部屋中がフィギュアやポスターで埋め尽くされていた。ところがS2の第12回ではグッズが「タイガーマスク」のものに総入れ替えされていた。
タイガーマスクの主人公・伊達直人は孤児院出身のプロレスラーで、孤児院の支援に命を懸けた。孤児院といえば、ベキである。ベキもまた孤児院支援に献身した。偶然とは思いにくい。東条はベキに心酔するようになり、テントに協力しているのではないか。
S2で物語の中心地となるのはトルコ共和国の東端にあるアール山(アララト山)だ。この山を囲むように消えた別班員と黒須がいるはずだ。
数々の伝説がある山だ。
その中で最も有名なのが「ノアの方舟」の終着地伝説。『旧約聖書』によると、世の中は人々の争いや暴力で満ちあふれ、神が定めた秩序や道徳が失われていた。
神は人間をつくったことを悔い、心を痛めた。そして地上に満ちた悪と暴力を拭い去るため、人間も動物も洪水で滅ぼすことを決める。
ただし、すべての人間が滅ぼされたわけではなかった。神を恐れ、正しく汚れのない生き方をしていたノアを生かす。
神はノアに対し「大洪水を起こすので、家族とすべての動物のつがいを乗せるための方舟をつくりなさい」と告げた。ノアたちが流れ着いたのがアール山の山頂付近だった。
アール山を物語の中心地に選んだということは、福澤氏もノアの方舟を意識しているに違いない。くしくも、かつて神が心を痛めたころと世界情勢は重なり合う。
S1は巨額送金や資金を巡る現実的なドラマとして始まった。S2は善悪や人間の在り方を問い直す哲学的な物語へと軸足を移していくのではないか。
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