「VIVANT」は「海外の配信ドラマ」級の「最高水準」 それでも前シーズンと比べて「ワクワクしない」の声が出るワケ

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刺激が乏しいのか

 視聴者をイライラさせつつ、画面に引き込むような存在もS2では今のところ登場していない。S1では薫がその役を担っていた。 

 例えばS1の第2回。逃走中で危険が迫っているというのに、薫はリーダー格である野崎の指示に従わず、結果として安全をさらに脅かしてしまった。ラクダから落ちて足止めを招く一幕もあった。

 もっとも、こういう存在がいることで物語は引き締まる。観る側は「なにをやってんだよ」と苛立つが、それによって画面から目が離せなくなってしまう。善意のトラブルメーカーは貴重な存在なのだ。S2での薫は第11回に顔見せ程度に登場しただけだ。

 とはいえ、刺激を捨てたわけではないはずだ。「VIVANT」はS1とS2を足すと、計3クールの長丁場。物語を平板にしないため、あえてS1とはスタイルを変えているのだろう。だから冒険活劇は一時的にスパイ・サスペンスに姿を変えていると見るべきだ。

 乃木は全国の病院から消えた別班員4名と、バルカで拉致された別班員の黒須駿(松坂桃李)を救うため、カギを握る警視庁公安部警部・新庄浩太郎(竜星涼)を追う。そして新庄がタイ・バンコクの実業家・チョッキー(タナパック・ジョンチャイパー)に匿われていることを突き止めた。

 決め手となったのは、新庄が好物の納豆と赤飯を購入していたため。第3回で乃木が新庄の身柄を押さえるのか。

 ただし、おかしい。パクチーとトムヤムクンの国で納豆を常食していたら「ここに日本人がいます」と言っているようなものだ。別班と同じく、精鋭ぞろいの公安捜査員が、そんな間抜けなことをするだろうか。乃木が自分を見つけるように仕向けていたのではないか。

 新庄は、乃木の父親であり、テロ組織「テント」のリーダーだったノゴーン・ベキ(役所広司)の脱獄を手引きしたことで、テントのモニター(潜入工作員)であったことが発覚した。だが、これも野崎の指示だと見ることができる。テントと協力者の全貌を知るためだ。

 別班は存在の有無すらはっきりしないが、現実の公安も謎に包まれた組織。野崎が手の内をすべて乃木に明かしているとは限らない。感情的な野崎が新庄への怒りをあらわにしないところも気になる。

 新庄の確保に向け、バンコクに新たな別班員が送り込まれた。丸菱商事専務の長野利彦(小日向文世)らしい。第12回の最終盤、乃木の滞在先に長野が現れた。

 長野はS1の第4回、野崎の事情聴取を受けた。丸菱商事による1000万ドル(当時のレートで約14億円)の誤送金事件で実行犯だった天才ハッカー・太田梨歩(S1・飯沼愛、S2・花岡すみれ)と、メールで頻繁にやり取りしていたからだ。太田との待ち合わせ場所にも現れた。

 その際、長野の経歴が明らかになった。防衛大学校卒業から2年の空白期間を置き、一橋大大学院に入学。修了後、丸菱商事に入社した。

 防衛大には毎年約320~380人が入校するが、卒業時には約30~50人が任官を拒否するから、不自然な話ではない。空白期間には薬物依存症の更生施設に入っていたそうだ。長野が別班員なら、その2年間は訓練期間だった可能性が高い。

 事情聴取で長野は野崎に対し、太田との関係について「不倫していた」と話していたが、これは真偽が確認できていない。太田側は不倫を認めていないからだ。2人の本当の関係が分かるのはこれからである。

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