中日8人、巨人7人が視察も…甲子園に届かなかった公立校から出てきた「3人の逸材」
球速の上積みを期待
藤井悠貴(新宮)は見逃せない右腕だ。
福岡県立新宮高校は、地元の九州大をはじめ、難関大学へ多くの合格者を送り出す進学校として知られる。野球部に目立った実績はなく、藤井自身は中学時代、地元の軟式野球部でプレーしていた無名の選手だった。
高校入学後に急成長し、最後の夏には多くのスカウトが視察に訪れるまでになった。
最大の魅力は197cmの長身にある。入学当時は90kgに満たなかった体重が、現在は105kgまで増加。マウンド上の立ち姿には、高校生離れした迫力がある。
福岡大会初戦では、過去に2度の甲子園出場を誇る自由ケ丘を相手に15奪三振で、2失点完投勝利を収めた。九州地区担当のスカウトは、藤井をこう評している。
「まだ制球はアバウトで、良いボールとそうでないボールの差は大きいですが、これほど長身の選手はなかなかいません。意外に器用で、変化球を投げる感覚も悪くありません。良い環境でしっかり鍛えれば、面白い投手になると思います」
ストレートは現在、140キロ前後が平均。197cmの長身を、まだ投球に生かし切れていない。筋力や投球技術が向上すれば、球速の上積みを期待できる。進路は未定だが、プロ志望届を提出すれば、多くの球団が本格的な調査に乗り出しそうだ。
見落としてはならない逸材
野手では、後藤幸樹(沼津商)が興味深い。
沼津商は1898年創立の静岡県立高校で、長い歴史を持つ。甲子園出場はないが、昨秋から多くの球団が後藤の視察に訪れていた。
181cm、86kgの堂々とした体格に、強肩と高い運動能力を備える。捕手に欠かせない体の強さに加え、走塁面では積極性が光る。
東海地区担当のスカウトは、次のように評価している。
「立派な体格でありながら、よく動ける点が魅力です。守備では足がよく動き、走塁にも積極性があります。打撃には粗さが残りますが、飛ばす力があり、体勢を崩されても簡単には空振りしません。鍛えがいのある選手だと思います」
筆者は6月、市ケ尾との練習試合に足を運んだ。球団幹部が視察に訪れており、後藤への関心の高さが伝わってきた。
市ケ尾は今夏の神奈川大会でベスト8に進出。エースの大塚遼(3年)と、主に抑えを任された中山優太朗(3年)は、いずれも最速140キロを超える好投手だった。後藤は両投手から1本ずつ安打を放っている。
静岡大会は初戦敗退に終わったが、後藤は適時三塁打と適時二塁打を含む2安打4打点。チームの全得点をたたき出し、打力を改めて証明した。
本人はプロ入りを強く希望している。強肩強打に走力まで兼ね備えた捕手は貴重であり、若手捕手の層が薄い球団にとって魅力的な候補となる。
昨年のドラフトでは、小宮悠瞳(川崎総合科学→ヤクルト育成1位)、浜岡蒼太(川和→西武育成4位)が、甲子園出場経験のない公立高校から指名を受けた。
近年はチーム練習に加え、個人でトレーナーの指導を受け、能力を伸ばす高校生が増えている。所属校の実績や知名度だけでは、選手の将来性を測れない時代になった。
岡本、藤井、後藤の3人は、甲子園に出場していないだけで見落としてはならない逸材である。秋のドラフト会議で名前を呼ばれても、驚きはない。
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