「将来的に年約2500億円という莫大な金額に…」 三井物産「鉄鉱石事業」爆発的収益力の秘密とは

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巨大なスタジアムのような採掘場

 しかしそこは、鉄鉱石の採掘においては最高の場所だった。

「鉱山開発は、大きなインフラをどれだけ効率的に用いて良質な鉄鉱石を出荷できるかが勝負になります。その点、ピルバラの鉄鉱石は地表から浅いところに埋まっていて、鉄分の純度も高かった。アルミナ、シリカといった不純物が少ないため、製鉄所でも効率よく鉄が生産できました」(永崎氏)

 それだけではない。

「ピルバラ地区は海に面していました。鉱山から北に向けてレールを敷けば、そこにはちょうど、鉄鉱石を積むための巨大な船舶が直接停泊できる、水深の深い天然の良港がありました。採掘機、レール、港といったインフラを効率的に整備して利益を生む、という意味でピルバラ地区はまさに最強の採掘場なのです」(同)

 先に触れた「ローズリッジ」もピルバラ地区にある。

「採掘場は鉄鉱石で黒みがかっており、掘られた巨大な穴が段々畑のようになっていました。上からのぞき込むと視界いっぱいに採掘場が広がり、それは巨大なスタジアムみたいでした。最初に見た時は、おおすげぇ!と圧倒されましたね」(同)

 採掘に使うのはダイナマイトである。

「爆破すると、崖がガーッと崩れ落ちて、赤茶けた鉄鉱石がバラバラバラと落ちてくるんです。それを自動化された無人のショベルカーが掬い上げて、ダンプに積み込んでいきます。積まれた鉄鉱石は破砕機に運ばれ、そこで細かく砕かれます」(同)

 その後ベルトコンベアを経由して、

「上から、何列もあるレールの上に待機している巨大な貨車にザーッと積み込まれていくのです。その貨車がレールの上を何百キロも走り、ようやく港に到着すると、次に使われるのがカーダンパーという特殊な機械。これが、巨大な貨車を180度豪快にひっくり返して、大量の鉄鉱石をバコーン、バコーンとおろしていくんです。世界中に鉄鉱石が供給されるその現場は、本当に圧倒的でしたね。現場では、リオティントの屈強な作業員たちが汗水たらして働いていました」(同)

三井物産全体の収益に占めるローブリバーの収益の割合は10%強にも

 その一方、永崎氏らが働いていたオフィスはパースという都市にあった。

「僕たちがやっていた業務は、一言で言えば『投資管理』でした。しかし、一般的には『株主業務』とでも言うべきもので、鉱山オペレーションや鉄鉱石の販売に直接貢献していたわけではなかった」(永崎氏)

 具体的には、

「最大株主のリオティントから“キャッシュコール”という通知を受け取ることです。それは『5000億円の追加出資で鉱山を拡張するから、三井物産も持ち分33%分を負担せよ。さもなくば権益の持ち分比率は保たれない』というスキームになっている。それを受け、僕らは追加投資のための稟議を東京の本社で通してもらうべく働くのです」(同)

 もっとも、当時、三井物産全体の収益に占めるローブリバーの収益の割合は10%強にも達していたため、

「三井物産はリオティントの要請に対して基本的にノーとは言わない。あの頃の僕たちの仕事は、リオティントとの関係を良好に保ち続け、意思決定に必要な情報を収集すること、そして権益の33%を下げずに果実化し続けることだったわけです」(同)

「新潮QUE」にて公開中の関連記事【「三井物産」の花形「鉄鉱石事業」に携わる社員が見る風景】では、他の総合商社と比較しながら、三井物産ならではの「強み」についてより詳しく報じている。

週刊新潮 2026年7月30日・8月6日号掲載

特集「5大商社徹底比較 第3回 三井物産『鉄鉱石事業』の爆発的収益力」より

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