プロ野球の実況アナは試合がない日も“資料作り”をサボれない…“緊迫した投手戦”こそスポーツアナの真価が問われる“備え”の重要性

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プロ野球中継の資料

 プロ野球中継の話をしましょう。私が勤務していた東海ラジオでは、中日ドラゴンズのホームゲーム71~72試合を自社制作で中継するので、一番ボリュームが多くなります。そのため、毎試合詳細なデータをとり、中継当日用の資料をまとめます。

 この日々作成する資料、我々アナウンサーは「資料をつける」という言い方をしますが(慣れ親しんだ言葉なのでここでも「つける」という表現をします)、つける項目も人それぞれです。

 私の場合は、ドラゴンズの選手ごとの個人データと、12球団のチームデータをつけていました。

 個人データは投手ですと登板日、球場、相手、先発、中継ぎ、何人目での登板か、勝敗、イニング数、球数、被安打、被ホームランと打たれた打者名、奪三振、与四死球、失点、自責点、暴投、ボーク、エラー、防御率。

 野手は出場日、球場、相手、スターティングメンバーか途中出場か、打順、ポジション、打数、安打数、得点(ホームに生還した数)、打点、2塁打、3塁打、ホームランと打った投手名、三振、四死球、犠飛、犠打、盗塁、盗塁死、失策、打率を毎試合つけていました。

 ちなみに、なぜホームランを打った投手名を記録するかというと、そのバッターとの相性や、右、左それぞれの投手から何本打ったかが見えてくるからです。

 チームデータは試合日、球場、相手、勝敗、得失点、完封、サヨナラ、延長、1点差ゲーム数、チーム打数、安打数、2塁打、3塁打、ホームランと打った投手名、三振、四死球、盗塁・盗塁死とその選手名、失策とその選手名、犠打・犠飛、併殺、残塁、登板投手名とイニング数(これらはすべて、対戦相手のデータ・選手名も書き込みます)、それぞれの勝敗、ホールド、セーブ。そして試合の得点経緯と特記事項もつけていました。

 特記事項として記録するのは、代表的な例を挙げると、野手であれば何打席ぶりにヒットを打った、ホームランを打った、あるいは何試合連続でヒットが出ているといったもの、投手だと何年何月何日以来何日ぶりの登板とか勝利といったものです。この他にチームの数字としては何年ぶりの何連勝、何連敗などです。

 また、私がいた東海ラジオではドラゴンズ戦の中継なので、ドラゴンズとセ・リーグ5チームとのチーム別対戦成績(つけるデータはチームデータと同じ)もつけていました。このほかにサヨナラ試合、延長戦、先頭打者ホームラン、満塁ホームラン、代打ホームランもリーグごとにつけていました。

 こういった資料は自分で決めたルールに従って3色ボールペンで「これは赤」、「この項目は青」と色分けして、ノートを開いたときにより早く視覚で必要な項目がわかるようにしていました。

 この資料の数字などをどこから拾うかというと、スポーツ紙のテーブルです。

 スポーツ紙をご覧になったことがある方ならお分かりいただけると思いますが、(スポーツ紙ごとに書き方は違いますが)テーブルというのはスコアをそのまま一覧にし、個々の選手の打率や防御率や盗塁、盗塁死、失策、併殺、残塁など、詳しいデータまで網羅されたものです。

 ここから数字を拾っていくわけですが、セ・リーグの資料でやっていた得点経過を付けるとき、表になっているテーブルから経過を読み取らなければなりません。これが意外に時間が掛かります。タイムリーやホームランなどわかりやすい点の取り方であれば簡単ですが、エラーで2塁までバッターが進んでからの得点となると、テーブルからは読み取れないので、内野ゴロや併殺の間に得点が入った場合に、どうして点が入ったか考えなければなりません。

 今は様々なプロ野球速報アプリなどで細かい試合経過を確認できますが、スマートフォンが普及する以前は紙面のテーブルとにらめっこ、ということがままありました。

 こうした一連の作業を経て、その日の資料をつけ終わるには2時間を要します。だから仕事が休みの日に資料をつけることまで休んでしまうと、翌日は大変なことになります。そのため、シーズン中は休みが休みではないような日々を送ってきました。

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