「母が峰不二子の声をしていたと知った時は…」 〈追悼〉声優・二階堂有希子さんの次男が明かす素顔 1万本以上の木を植える壮大な作業にも挑戦

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 物故者を取り上げてその生涯を振り返るコラム「墓碑銘」は、開始から半世紀となる週刊新潮の超長期連載。今回は7月3日に87歳で亡くなった、声優の二階堂有希子さんを取り上げる。

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 抜群のスタイル、欲深いが憎めず、謎めいている。峰不二子は「ルパン三世」において主人公に勝るとも劣らぬ人気者である。

 その声を1971年開始の「ルパン三世」のテレビアニメ第1シリーズで演じた「初代・峰不二子」が、二階堂有希子(本名・柳生加津子)さんだ。夫は俳優の柳生博さんである。

 次男で「八ヶ岳倶楽部」の代表を現在務めている、柳生宗助さんは振り返る。

「母が峰不二子の声をしていたと知った時は照れ臭かった。母は自分から昔話をほとんどしませんでした」

 38年、東京生まれ。俳優座の養成所で頭角を現す。

 同期の冨士眞奈美さんは振り返る。

「私たちの中でトップでした。お嬢様で真面目な優等生なのですが、気取ったところなんてなかった。ニコニコしてかわいらしい人です」

 映画やテレビドラマで主役級として注目を浴びる。養成所の同期、柳生さんと結婚。仲人は女優の小山明子さんと映画監督の大島渚さん夫妻が務めた。

 小山さんは思い返す。

「結婚当時、二階堂さんの方がずっと有名で仕事も多かった。でもお互い気にせず、のびのびして仲が良い。柳生さんを立てていた」

1万本以上の木を植えるという作業

 68年に長男の真吾さんが誕生すると、洋画の吹き替えなど声優を中心に活躍。人物の状態をじっくり考え心理に迫ると、自然に声もリズムも変化すると実感する。伝わるのは声だけでも女優同様に役を演じていた。声の多彩さが魅力となり、「ルパン三世」で峰不二子役に起用される。

 77年、「ルパン三世」の第2シリーズから、峰不二子役は増山江威子さんに交代。72年に宗助さんを授かって以降、事実上芸能界を退いていたためだ。

 一方、仕事が激増した夫の柳生さんは家族一緒に自然の中で過ごす機会をつくろうとする。単なる別荘暮らしではなく、山梨県の八ヶ岳山麓で本来の雑木林をよみがえらせるため1万本以上の木を植えるという壮大な作業。有名な俳優一家が土まみれで地道に働く姿は、地元の人々に受け入れられた。

 10年以上をかけ雑木林が形になると、見学者が勝手にやってきた。山火事でも起きては大変と、一部を89年に「八ヶ岳倶楽部」として開業。いわゆる芸能人の店とは一線を画していた。

「母は1年間喫茶の学校に通い、お客様に特別なものをとフルーツティーを考え出しました。でも素人社長。父も木に詳しくても経営は不案内です。心地が良いからとまたお越し下さった皆様のおかげで続けることができたのです」(宗助さん)

 今や年間10万人が訪れる。

「峰不二子に会いたいと来て下さる方もいらっしゃった。恥ずかしがっていた母は、話すうちにうれしそうな様子に見えました。母は応援団のような人で、褒めるのが上手。お世辞ではなく素直に感想を話していた。好きだと思った芸術家の陶芸や木工などを展示、販売する場を設けて、その方々がだんだん成功していくのを喜んでいた」(宗助さん)

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