プロで伸びる選手、消える選手は何が違う? データ全盛時代に問われる「自己修正力」

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オタク気質の選手

 変化が見られるのは、技術面だけではない。メンタリティーの面でも、成功する選手の特徴は昔と変わってきているという。ある球団のアマチュア担当スカウトはこう話す。

「昔は『野球選手は少しくらいヤンチャな方が良い』とよく言われていましたが、最近成功している選手を見ると、そういうタイプは減っているように感じます。中にはもちろん学校の勉強が苦手な選手もいますが、そうした選手でも野球に対しては研究熱心というケースが多いですね。割と“オタク気質”な選手も増えています。それだけ、しっかりトレーニングをして体調管理をしなければ活躍できない時代になっているということではないでしょうか。もちろん、オフに遊んだり休んだりするのは構いませんが、いかに野球に対して真摯に取り組むことができるかが、以前にも増して大事だと思います。試合だけでなく練習を見に行くのも、そうした姿勢をチェックする意味合いが強いですね」

 ここで言う“オタク気質”とは、単に野球の知識が豊富というだけではない。映像や数値を自分から確認し、練習の目的を言葉で説明できる。食事や睡眠を含めて体調を管理し、不調になった時にはどの形に戻すのかという基準も持っている。日々の行動まで含めて野球を研究できる選手が増えている。

 プロ入り後は、監督やコーチ、トレーナー、アナリストなど、さまざまな立場の人から助言を受ける。しかし、助言の内容がすべて同じとは限らない。言われたことを何でも取り入れればよいわけではなく、自分に必要なものを選び取らなければ、かえってフォームを崩す恐れもある。

何を変え、何を残すかを見極める力

 新しい考え方を受け入れる素直さは必要だ。同時に、助言が自分の感覚や特徴に合うかを見極めなければならない。

 現代のプロ野球で求められる修正力とは、何でも変えることではない。何を変え、何を残すかを見極める力なのである。

 昔のプロ野球選手には、朝まで飲み歩き、二日酔いで登板しても抑えたというエピソードもよく聞かれた。だが、同じような生活を続けながら結果を残す選手は、現代ではほとんどいないという。

 選手全体のレベルが上がり、分析やトレーニングも高度化した。わずかな準備不足が、成績に直結する。素質に加え、自ら能力を伸ばす意欲を持つ選手が生き残る時代になった。

 アマチュア時代の評価は、あくまでプロ入り時点での完成度や将来性を示すものにすぎない。入団後には、相手から研究された時の対応、年間を通したコンディション管理、チームから求められる役割への適応など、新たな課題が次々に現れる。課題に応じて自分を変えられるかどうかで、入団時の評価の序列は大きく入れ替わっていく。

 球速や身体能力に恵まれているだけで、プロで長く活躍できるわけではない。自分の特徴を理解してデータを生かし、必要であれば、これまでのスタイルに修正を加える。そして、自ら学ぶ環境を求めながら、日々の準備を続けられるか。より高度化したプロ野球で生き残るためには、自己修正力が以前にも増して問われている。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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