大破した機体の外に「放り出された乗客の死体が散乱」…伝説の「UA232便不時着事故」で生存者が見た「戦場さながらの光景」
気づいたら逆さ吊りになっていた
墜落時の衝撃は、すさまじいものだった。ベトナム帰りのエングラー氏でさえ、「その瞬間、思わずお祈りの言葉が口をついてしまった」ほどで、
「衝撃は予想していたより遥かに強かった。次の瞬間、機体がひっくり返って転がり始めたんだ。うんと凄いジェットコースターみたいだった。私は失神しなかったがね」
機体は右翼の先端を引っかけるようにして地面に激突。機体は回転して、大きく3つに砕け、上下逆さまの状態で止まった。エコノミークラスの9列から21列あたりまでには生存者が多く、30列以降やファーストクラスは、ほとんど全滅と言ってもよかった。
20列目に座っていたローディ氏(前出)は、
「着陸の衝撃で、眼鏡は吹っ飛び、どこかに行ってしまいました。機体が静止して、気づいたら逆さ吊りになっていたんです。機内には煙がたちこめていて、何も見えないと言ってもいいような状態でしたが、“助かったんだ”とホッとする気持ちで一杯になりました。
シートベルトをはずすと、客室乗務員が、“後ろは火が出ているから危険です”と叫ぶ声が聞こえる。前の方に向かいながら、私のように大したケガのなかった者は、下敷きになっている人やケガをしている人を助け出したりしました。想像できないことかもしれませんが、みんながそれぞれ助け合い、とても統制が取れていたんです」
トウモロコシ畑に死体が散乱
高校で数学とコンピューターを教えているジェイムズ・カール氏の座席は11列目だった。
「どうも、機体は8列目と9列目の間で分断されていたようなんです。“しめた”と思いましたよ。2、3列前に脱出口がポッカリ開いているんですから」
マーツ氏(前出)の座席は27列目とあって、脱出は容易ではなかった。マーツ氏も、やはり、座席から宙吊りという格好だったが、
「シートベルトをはずして下に降り立つと、周囲には煙がたち込めていて、人の叫び声が聞こえてくるんです。窓を叩き割って、そこから逃げようと考えましたが、足で蹴っても割れない。このままでは、煙で窒息してしまう。後ろ側を振り返ると、炎が出ている開口部が見えた。火が燃えているなら酸素があるということだ。ちょっとくらい火傷するかもしれないが助かるんじゃないか、そう思って一気に開口部を走り抜けたんです」
手にカスリ傷を負っただけでトウモロコシ畑に出られたが、そこは「正に戦場さながらの光景だった」という。
「ちぎれた手足、曲がった腕、胃が飛び出した遺体、顔のえぐられた死体、足が2本ともなくなっている女性、頭を抱えたまま動かなくなっている男性、そして、血、血……。機体が割れて放り出された乗客の死体が散乱していたのです」
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