「来なくていいと言われたが、無理に警察に押しかけた」 富山「無差別殺人」計画を通報した「アキバ加藤の元同僚」が経緯を語る 翌日に容疑者は逮捕「富山県警がフルスピードで対応して…」
相談から逮捕までわずか1日
「本当にフルスピードで動いてくれた」と大友さんは富山県警の対応を振り返る。11日の相談から、逮捕までわずか1日というスピード対応だった。
大友さんのもとには、加藤智大死刑囚と面識があったことを公言して以降、毎日のように「死にたい」「自分も同じことをしてしまうのではないか」といったメッセージが届いている。その多くは、毒親育ちなどの複雑な家庭環境への言及とともに、内向きの絶望感を吐露するものだ。実際に他者への加害を口にするケースは全体のごく一部にとどまるといい、大友さんの感覚では「100人に1人程度」だという。だが、やり取りの頻度が上がるにつれて、その矛先が自分ではなく外に向いていく人がまれに現れる。今回のケースは、まさにその境界線上にあったと大友さんは振り返る。
「本当に起きてしまったら」
自殺や殺人をほのめかす相談者に対して大友さんは、あえて「会って話す」という選択肢を提示するようにしているという。「言葉が届けば、少なくとも決行日を1日でも後ろにずらせる」との考えからだ。今回も、7月14日朝に新宿に到着する予定だった男と、翌15日に会う約束を取り付けていた。
とはいえ、男は本当に事件を起こすつもりがあるのだろうか。本気なのだろうか……そんな状況で警察に相談することは、誰しも躊躇することだろう。しかし大友さんは“もし本当に起きてしまったら”と考え、行動したという。
「知ってしまって関わった以上、やっぱり僕は放置はできない。『まあ大丈夫だろう』と楽観視しているなかで本当に事件が起きたら、自分自身どうなっちゃうんだろうというか、立ち直れないぐらいショックは受けると思うんで」
警察に相談することの難しさ
大友さんが今回あらためて痛感したのは、警察の対応が担当者によって大きく左右される現実だった。過去には「お前みたいなおかしいやつが、おかしいやつの話を聞くから余計におかしくなるんだ」と一方的に電話を切られたこともあるという。保護司という肩書きを名乗ってなお「来なくていい」と言われる状況を踏まえ「一般の人だったら、まず相談すらしないだろう」と、事前に警察へ相談することの難しさを語る。
一方で、警察が日々多くの事案を抱え、実際に起きた事件と「起きるかもしれない」段階の相談とでは優先順位が異なるのもやむを得ない面があるとも理解を示す。相談を受けた側からすれば、寄せられる情報の大半は結果的に「事件化しない」ものであり、その一つひとつに人員を割いて詳細な調書を取ることが現実的に難しい事情も分かるという。
「何件かに一件、本当に危ういものが混ざっている。それを見分けろというのも酷な話ではある」と大友さんは言う。それでも、ストーカー事案などで対応の遅れが被害につながる例が後を絶たない現状に対し「根本的な仕組みを変えないと、同じことが繰り返される」と警鐘を鳴らす。今回のケースでは、たまたま大友さんが「保護司」という肩書きを持ち、15年にわたる相談対応の経験から危険度を見極める勘を培っていたことなどが功を奏した面が大きい。「一般の人が同じ立場だったら、最初の『来なくていいですよ』で引き下がってしまうと思う。相談することへのハードルが、そもそも高すぎる」と指摘する。
逮捕に至った男に対し、大友さんは「事件が防げてよかった、で終わりではない」と話す。
「要は僕がチクッたことで、これだけ大々的に報道されちゃったわけなので。支えてあげなきゃなと思う」
弁護士を通じて連絡を取り、定期的に会っていきたいという意向を示している。
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