“戦線は膠着”“経済は悪化”でもプーチン大統領が“終わらない戦争”を続ける理由 泥沼のウクライナ侵攻に変化をもたらす可能性を秘めた「プーチン大統領の異変」とは

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 前編【プーチン大統領を襲う凄まじい“経済危機”リスク…ロシア軍の死傷者は“140万人”に達し、戦時経済は“危険信号”と海外メディア 「消耗戦によってロシア自体が消耗している」】からの続き──。世界的な通信社のロイターや、シンガポールの高級紙「ストレーツ・タイムズ」はロシア経済の危機を伝えている。国家財政が巨額の戦費負担に耐えられず、銀行の軍需産業に対する融資が不良債権化するリスクが高まっているという。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も「ロシア経済が厳しい局面を迎えているのは事実でしょう」と指摘する。(前後編の後編)

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 まずはウクライナの最前線で、ロシア軍はどう戦っているのだろうか。黒井氏は「欧米のシンクタンクなどはウクライナ軍の善戦をレポートしていますが、その“読み方”は注意が必要です」と言う。

「ウクライナで最大の激戦地は東部のドネツク州です。ロシア軍とウクライナ軍は共に一進一退の攻防を続けているので、最前線はノコギリの刃のようにギザギザな形になっています。ロシア軍には多数の戦死傷者が発生していますし、今年の春頃から最前線の一部でウクライナ軍が反攻に転じたことも確認されています。新しい動きなのでシンクタンクは注目し、レポートで詳しく分析します。この部分だけを読むとウクライナ軍がロシア軍を駆逐しているように思えてしまいます。ところが最後まで読むと『戦線は膠着状態にある』と結論づけているのが分かるのです」

 ロシアの人口は約1億4600万人。一方のウクライナはロシア軍の侵攻で正確な数字が把握できなくなっているが、約3300万人から3500万人と推計されている。人口だけでも両国の違いは大きい。やはりロシアは大国であり、ウクライナは小国だ。

「ウクライナ軍が一部で反攻に転じているとはいえ、国内にいるロシア軍の全てを掃討できるだけの兵力はありません。一方のロシア軍も人的損害を無視した猛攻を続けてきましたが、ウクライナ軍の頑強な抵抗に苦しんでいます」(同・黒井氏)

続く膠着状態

 両軍とも決定力に欠けており、黒井氏は「今後も最前線における膠着状態は続くと考えられます」と言う。

「ウクライナ軍が攻勢に転じたように見えるのは、長距離ドローンの自国開発に成功したことも大きいでしょう。ロシア国内の兵站施設や石油精製所を空爆してダメージを与え、日本のメディアも大きく報じています。これまでドローンによる攻撃は、国境から標的への距離が近いロシア軍が圧倒的に有利でしたが、ウクライナ軍が有効な長距離用ドローンを開発・配備できたことで、同様の攻撃が可能になりました。とはいえ今後、ウクライナ国内における両軍の戦線は縮小する可能性が高いと私は分析しています。理由は、まずは最前線の塹壕戦で、両軍ともに敵のドローンによって進撃が阻まれていること。それに加えて、特にロシア軍の人海戦術が限界を迎えていることもあります。財政の問題もありますが、兵員の確保が難しい状態になっています。最前線に投入できる兵士の数が不足するため、ピンポイントで攻撃するしかありません。ウクライナ軍にとってはチャンスですが、こちらも慢性的に戦力が足りません。総攻撃に転じる余裕はなく、縮小した戦線でこれまでの同じような膠着状態が続くと考えられます」

 場合によっては来年も再来年もドネツク州で両軍の一進一退が続く可能性があるというわけだ。

 黒井氏は「ロシア経済も、そう簡単には破綻しません。理由は経済制裁に抜け穴が存在するからです」と言う。

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