「麻薬に溺れ、逮捕も」 『Y.M.C.A』を歌ったヴィクター・ウィリスが死去 晩年、予期せぬ注目を浴びた理由とは?

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 物故者を取り上げてその生涯を振り返るコラム「墓碑銘」は、開始から半世紀となる週刊新潮の超長期連載。今回は6月30日に亡くなった、歌手のヴィクター・ウィリス氏を取り上げる。

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 すばらしい YMCA~、とアルファベット4文字を両手を使った振り付けで描き、熱唱する西城秀樹。1979年、この「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」は大ヒットを記録した。

 音楽評論家の反畑誠一さんは振り返る。

「幼稚園児でも簡単にまねできて歌って踊れる楽しい曲。ピンク・レディーの影響で振り付けを覚えるのがはやっていた時期にぴったりでした。今でもCMに使われるなど老若男女を問わず長く親しまれています」

 もともとはアメリカのヴィレッジ・ピープルのヒット曲。そのリードボーカルを務めていたのが、ヴィクター・ウィリスさんである。

 ラジオDJで音楽評論家の山本さゆりさんは言う。

「日本では“『Y.M.C.A.』の人”と説明されて初めて分かる存在。秀樹によるヒットがあってこそです。ヴィレッジ・ピープルは70年代末の短期間にヒットを連発、今聴いても印象的ですが、色物扱いされた。ウィリスさんは警官や海軍士官の衣装で歌い、他のメンバーもカウボーイ、工事現場の作業員、革ジャン姿など、男らしさを強調したコスプレをしていた。ゲイのイメージのグループは視覚的にも面白く新しいとのプロデューサーの発想です。ゲイの立場向上を目指す思想性はなく、明るくて無駄に元気な曲調がアメリカで万人受けした」

麻薬に溺れ、逮捕も

 キリスト教青年会と邦訳されるYMCAは、布教ではなく青少年の交流を主な目的とする団体で、安価な宿泊施設も提供。原曲では“YMCAに泊まるのは楽しいよ”などと歌っている。

「アメリカではYMCAがゲイの集う場所として勝手に使われた背景があり、歌詞に二重の意味が含まれていたのです」(山本さん)

 アメリカ滞在中、同曲に魅了されカバーを提案した秀樹に周囲は当初、猛反対。青春賛歌の日本語詞を考え、自然と踊りたくなるような振り付けを生み出し、ゲイを連想しかねない原曲の一部を修正する苦労も。

 ウィリスさんは51年、テキサス州ダラス生まれ。父は牧師。ゴスペル仕込みの歌唱力がプロデューサーに認められ、77年のグループ結成で主軸に据えられた。

 コミカル調の「マッチョ・マン」に続き「Y.M.C.A.」「イン・ザ・ネイヴィー」「ゴー・ウエスト」が広く人々の心をつかむ。

 80年にヴィレッジ・ピープルは初来日。秀樹と会い、直々に伝授された振り付けを取り入れたが、ウィリスさんは前年に脱退していた。要の歌唱力を失ったグループは一気に低迷。ソロに転じたウィリスさんは麻薬に溺れ、逮捕もされている。

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