街から子供の姿が消えた…深刻化する「クマ被害」で秋田は“戒厳令状態”に 通学はスクールバスでコロナ禍のような“巣ごもりストレス”に重大懸念

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 今や日本屈指のクマが出没する県になってしまったのが、ツキノワグマによる被害が相次ぐ秋田県である。昨年同様、今年もクマの目撃情報や人的被害が相次いでいる状況にあり、厳戒態勢が続いている。

 クマ問題については、突然屋外で襲われるなどの人的な被害のほか、スイカなど農作物への被害が報告されているが、それだけではない。人々がクマを恐れて、外に出なくなってしまったのだ。そのせいで深刻な運動不足に陥る人が増え、県民の健康面にも大きな影響を及ぼしているのだという。【取材・文=山内貴範】

外に出るのが怖い

 秋田県南地方に住む会社員A氏によると、「明らかに、外に出ている人の数が減った」のだという。

「ほぼ毎日のようにクマの目撃情報が出ています。そのせいで、クマが怖くて外出を控える人は増えている印象を受けます。山菜採りに行っていた高齢者がクマに襲われる事故があったりした影響もあって、私はあまり山には行かなくなりましたし、行っても早く戻ってくる人も増えたそうです。

 人々は外に出るのを控えており、農作業にも影響が出ています。何と言っても深刻なのは子供たちです。クマが出るからと、親が外で遊ばせないようにしていますし、そもそも遊びにいけないような雰囲気です。また、登下校の時は、場合によっては親が送り迎えをする必要があります。学校はもちろん、親の負担も増えています」

 A氏が感じているのは、周囲から外で遊ぶ子供たちの姿が消えていることだという。そのうえ、県内では子供たちをスクールバスで通学させたり、親が送迎したりするのが、当たり前になっているそうだ。しかも、バスが来るまでは親が子供に付き添ったりして、家族全体、地域全体でクマに警戒しているようである。

クマと共存の関係にあったが

 県民をここまで不安にさせているのは、現在のクマの出没状況にある。秋田県にはマタギの文化があるように、もともと県民はクマと共存していた。山間部の住民は「クマは出るもの」という認識があり、警戒こそするものの、「野生動物なのだから、いて当たり前」という感覚であった。

 ところが、昨今はクマの出没件数が増加の一途をたどり、そのうえ市街地にまで出没するようになったのだ。2024年12月には秋田市のスーパーにクマが立てこもる出来事が起こったが、子供たちの通学路や市街地にまで普通にクマが出没する。いつどこにクマが出るかわからない不安が、県民を襲っているのだといえる。A氏はこう不安を口にする。

「クマのせいで外出もままならないこの状況がいつまで続くのか、不安ですし、残念です。コロナ禍が明けたと思ったら、今度はクマですよ。自由に外も歩けない……と、心身の不調をきたすほどのストレスになる人が増えていると思います」

 一連の話を聞くと、まるでコロナ禍の「緊急事態宣言」中を思わせる事態になっているのがわかる。そのうえ、異常気象によって秋田県内も平気で30度以上の猛暑になることが増えてしまい、子供は外で遊ばなくなり、大人も外出を控えるようになってしまったのである。こうなると、県民の健康面は大丈夫か、と不安にならざるを得ない。

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