阪神はなぜ混戦セ・リーグから抜け出せないのか 近本離脱だけではない“強者の誤算”

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 昨季、圧倒的な強さでリーグを制した阪神が、今年はもがいている。

 2位に13ゲーム差をつけ、両リーグで歴代最速となる9月7日に優勝を決めたチームである。オフに大きな戦力ダウンもなく、開幕前は多くの評論家が連覇を予想していた。前半戦を終えようとしている今、昨季のような独走ムードはない。【西尾典文/野球ライター】

近本の離脱の誤算

 4月終了時点では貯金8と順調なスタートを切った。セ・パ交流戦では6勝12敗で12球団中9位に沈み、6月のトータルも8勝10敗と負け越した。月間成績が勝率5割を下回ったのは、藤川球児監督が就任してから初めてだった。現在も巨人、ヤクルトと首位を争っているとはいえ、昨季のような圧倒的な強さは影を潜めている。

 なぜ、あれほど盤石に見えた阪神が苦しんでいるのか。

 最大の誤算の一つは、不動のリードオフマンだった近本光司の離脱だ。近本は入団から昨季までの7年間で通算1093安打、200盗塁をマーク。新人から7年連続で130安打を記録したのは、長嶋茂雄(元・巨人)以来、プロ野球史上2人目である。

 今年は4月26日の広島戦で死球を受け、左手首を骨折。翌日に選手登録を抹消され、長期離脱となった。

 近本の抜けたセンターには、内野手登録の高寺望夢が主に起用されている。打率は2割台前半で三振も多く、近本の穴を埋め切れているとは言いづらい。中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔の4人は安定した成績を残している。近本が健在であれば、得点力はさらに高まっていたはずだ。

リリーフ陣の誤算

 近本の離脱だけではない。より深刻なのは、投手陣、とりわけリリーフ陣の誤算である。

 故障から復活した高橋遥人は開幕から10連勝を記録し、先発陣を引っ張っている。チーム全体を見渡すと、他に大きく勝ち越している先発投手はいない。救援陣にはさらに苦しい状況が広がっている。

 昨季50試合連続無失点を記録した石井大智は、キャンプ中にアキレス腱断裂の重傷を負って今季絶望。及川雅貴、桐敷拓馬らも大きく成績を落としている。リリーフ陣への負担は、昨季から表面化していた。

 ある球団関係者はこう指摘する。

「昨年も勝率は圧倒的でしたが、試合展開はロースコアの接戦が非常に多かった。リリーフ陣のフル回転がなければ、あそこまで早く優勝することはできなかったでしょう。首脳陣もそれは理解していて、昨シーズンの途中に実績のあるドリスを再獲得し、オフには新外国人のモレッタも獲得しています。ただ、モレッタは期待に応えられていない。先発に疲れが出てくる夏場以降は、さらに苦しくなる可能性もあるでしょう」

 ドリスは抑えも任せられる働きをしている。ただ、今年で38歳。シーズンを通じて頼り切るには、負担も考えなければならない。モレッタは17試合に登板して防御率7点台と結果を残せず、6月以降は二軍調整が続いている。昨季の勝ちパターンに頼り切れない中で、救援陣の再整備は後半戦の大きな課題となる。

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