“実況アナ”がこだわる「番手」という言葉の意味…競馬中継の「2番手争い」はOKでも、野球中継での「2番手ピッチャー」がどうしても認められない理由
「何番手」は間違っている?
さて、今回私が俎上に載せたいのは、野球中継における投手リレーで使われる「何番手」という表現です。
日本テレビなど一部のテレビ局では、テロップにも「何番手」という表記をしているので、「一生懸命」同様、すでに市民権を得ているという見方もできるとは思いますが、私はどうしても認めることができません。
この「何番手」、例えばこんな感じで使われます。
「ドジャース、先発の大谷に代わって、この回から2番手ハートがマウンドに上がっています」
しかし、この「何番手」という表現は、投手リレーで使うのは明らかな誤用です。
「何番手」という表現が一番使われるのは競馬中継です。競馬中継ではレースがスタートして直後の状況を伝えたあと、馬の隊列の現状(順位)を、先頭からその差とともに伝えます。
「先頭は予想通り逃げるダイユウサク、2馬身差で2番手はマイネルトウショウ、半馬身遅れて3番手にはオグリキャップ」
というように、先頭からその段階の順位を表現するときに「何番手」という言葉が使われます。
なぜ「何番手」という言葉を使うのかと言えば、ゴールまでに順位が目まぐるしく変わるからです。現状を伝える言葉であって、確定した結果を伝える言葉ではありません。今は2位で走っていても最後の直線で先頭に立つこともあれば、他の馬に抜かれて順位を落とすこともあります。つまり、「何番手」という言い方は「あくまでも今はこの順位」を表現した言葉で、固定した順番を表現する言葉ではないのです。
同じように、陸上のトラック競技やマラソンでもこの「何番手」という表現が使われますが、競馬同様、ゴールするまでは順位が確定しないからです。
ここからわかるように「何番手」という言葉は、競争の途中経過を表現するときに使われるものです。ゴールしたら「何番手」ではなく、1着、2着という言い方に変わります。なぜなら順位が確定したからです。
改めて野球中継における「何番手」という表現を考えましょう。
投手交代が行われるのは確かに試合継続中で、どちらが勝つかはわからない状況です。しかし、競馬や徒競走のように、その順番がゲームセットまでに入れ替わることはありません。
今の野球中継で多用される「2番手」で登板したピッチャーは、試合がどんな結果に終わろうともその試合で「2番目」に登板した選手であり、結果によって3番手や4番手になることはないのです。
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