“実況アナ”がこだわる「番手」という言葉の意味…競馬中継の「2番手争い」はOKでも、野球中継での「2番手ピッチャー」がどうしても認められない理由

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 前回では「0」の読み方は「れい」か「ゼロ」か……正しい日本語で物事を伝えるアナウンサーがこだわる言葉のルーツに迫りました。今回は、テレビでもラジオでも、野球中継では当たり前のように耳にする「あの言葉」について、東海ラジオでプロ野球実況を35年にわたって務めた、フリーアナウンサーの村上和宏さんが解説します。

「一生懸命」は間違い

 今回は野球中継における、ある言葉について考察します。

 読者のみなさんには「そんなのどうでもいいよ」と思われる内容かもしれません。でも、先週も述べたように、野球中継に携わるアナウンサーの一人として、正しい日本語を守っていきたいという、私の思いを汲んでいただければと思います。

 普段、何気なく使っている言葉には、実は間違っているというものがいくつかあります。

 例えば「一生懸命」。この言葉は本来、日本語にはありませんでしたが、「一所懸命」を文字でなく、会話で使う場合、「いっしょ」を「いっしょう」と言う人が大半になりました。それとともに文字で表す際も「一所」ではなく「一生」と書く人が増えていったのです。

「一所懸命」とは、「武士が賜った『一か所』の領地を命がけで守り、それを生活の頼りにして生きたこと」に由来します。ここから「物事を命がけでやる」という意味に転じた言葉です。だから「一所」なのですが、「一生」だと「一所」本来の意味とは違った言葉になってしまいます。

 しかし、日本人の大半が「一生懸命」を使うことがスタンダードになったことで、日本語の監視役であるNHKも「一生懸命」を「正しい日本語」と認め、新聞、雑誌など活字の世界でも「一所懸命」ではなく、「一生懸命」を使うことを基本とするようになりました。

 つまり、厳格に判断すれば誤った言葉でも、その普及率の高さ故に「市民権」を得た代表的な例だと言えます。

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