「山林から離れた地域でも目撃情報が」…秋田県羽後町長が明かす「クマ被害」激増の背景「LINEや防災メールで出没状況を伝えています」
クマといえば、ヒグマが出没する北海道のイメージが強かったが、今や日本屈指のクマの出没県になってしまったのが、ツキノワグマによる被害が相次ぐ秋田県である。昨年同様、今年もクマの目撃情報や人的被害が相次いでいる状況だ。地元メディア「秋田魁新報」では、連日のようにクマに関するニュースが報じられている。
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秋田県はもともとクマが多く生息し、矢口高雄氏が漫画にも描いた猟師“マタギ”の文化が発展してきた。とはいえ、これまではどんなに出没するといっても山中かその麓といった地域に限られ、また、出没時期も、冬眠から目覚める春と、冬眠に入る前の秋頃に警戒すればいいというのが地元民の感覚であった。ところが、今やシーズンを問わないどころか、人が住む市街地にまでクマが出るようになったのである。
山菜採りなどで入山した人の被害も後を絶たない。5月28日、秋田県南に位置する羽後町の浦田山に山菜採りに入った80代の女性が、2頭のクマに遭遇。襲われて左手や背中などにケガを負った。クマは2頭で、襲撃後に立ち去ったため、女性は自力で下山できたという。とはいえ、一歩間違えば命を落としかねない出来事であった。
羽後町には、8月の3日間で10万人もの観光客が訪れる「西馬音内盆踊り」などの伝統行事がある。対策に取り組む町長の佐々木康寛氏に、町内のクマ問題の現状について話を聞いた。【取材・文=山内貴範】(全2回のうち第1回)
クマの生息域は広がっている
――2024年に、秋田市では市街地にあるスーパーにクマが立てこもったというニュースがありました。その後もクマが市街地に出没する事例が相次ぎ、もはや秋田県はどこでクマに遭遇してもおかしくない状況といえます。
佐々木:我々の想像以上に、短期間でクマの生息域が広がった印象です。県の発表によると、生息頭数は全県で約4400頭といわれていますが、これは氷山の一角でしょう。私は、実際の頭数はもっと多いのではないかと考えています。
――羽後町のクマの出没状況は、どのようになっているのでしょうか。
佐々木:目撃及び出没件数について、4月から6月末までの3ヶ月間の統計を昨年と今年で比較すると、昨年は32件でしたが、今年は55件となっています。単純計算で約1.7倍の増加です。さらに、7月5日までカウントすると70件で、たった5日間で15件もプラスになっているという計算になります。
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