「コメ騒動」から一転して「未曾有のコメ余り」…貧しくなった日本人にとってコメは高級品になってしまった 農家が指摘する「鈴木農水相のメッセージ不足」
第2回【「安い新米が消費者を喜ばせることは賛成です。ただ…」 “コメ大暴落”を前に農家の男性が鈴木農水相に訴えたいこと 「5キロ2000円台を前提にコメを買い取られたら“倒産”するしかありません」】からの続き──。2025年、コメは家計を暴力的に圧迫した。コメは“金持ちしか買えない高級品”となり、多くの消費者は外国産米、パン、麺類にシフトせざるを得なくなったのだ。なぜ消費者がこれほど追い詰められたのか、それは総務省の「家計調査」を見れば一目瞭然だ。(全3回の第3回)
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この家計調査は全国の約9000世帯を対象とし、毎月の収入、支出、貯蓄、負債などの金額を毎月調査している。それではコメの出費について見てみよう。
令和の米騒動が始まる前の2023年、日本における「2人以上の世帯」は1年間にコメを56・65キロ購入し、約2万円を支払った。
次に南海トラフ地震関連の情報でコメの買い占めが発生した2024年を見てみよう。コメの購入量は60・2キロで、支出は約2万7000円だった。
ところが2025年は、とんでもない数字になった。購入量は61・31キロと、24年に比べるとわずか1キロ弱しか増えていないのに、支出額は約4万2000円に急増したのだ。
支出の上昇率は約56%、要するに1・5倍に増えたことになる。いきなり出費が倍に増えたのだから、消費者が怒ったのは当然だろう。
一方、同じ25年のパン購入量は41・8キロで、支出額は約3万4000円だった。実はパンの購入費は常にコメを上回っていた。コメが上回ったのは12年ぶりのことだった。
日本人の“コメ離れ”は加速を続けている。これまでは「それでもコメはパンより安い」と言えたのだが、もうそれすら現実のものではなくなった。少なくとも2025年でコスパがいい主食はパンだったのだ。
あまりに高いコメ
木村和也氏は登山専門誌「山と溪谷」で知られる出版社・山と溪谷社のOBだ。生まれ育った新潟県南魚沼市にUターンすると実家のコメ農家を継ぎ、フリーペーパー「山歩みち」の編集長を務めている。
消費者の心理もコメ農家の本音も熟知する木村氏が注目するのは「日本人の貧窮化」だ。
「『エンゲル係数』とは家計の支出に占める食料費の割合を示す経済指標です。エンゲル係数が低いと『食うに困らない』、逆に高いと『食うだけで精一杯』という状態を表します。最新の数値は20254年12月のもので、28・6%でした。日本国内だけを見ても1981年以来、43年ぶりの高水準です。海外と比較すると日本人の困窮化はさらに鮮明で、いわゆる“先進国”とされる欧米は15%台が普通です。中国国家統計局が24年に発表したエンゲル係数は28・6%、韓国は研究機関などの推定値ですが27%前後です」
次に木村氏が見るのは厚生労働省が発表した24年の「国民生活基礎調査の概況」だ。
「国民生活基礎調査によると、日本人の平均所得は536万円ですが、何と平均所得以下の人が61・9%に達します。そのうち年収が200万円から400万円という世帯が5割近くを占めています。エンゲル係数を30%として年収300万円の世帯を試算してみましょう。年間の食費は約90万円となり、月平均は7・5万円。一家3人として1人あたり月2・5万円、1日なら1人800円、1食あたり270円です。米穀安定供給確保支援機構の調査によると1人あたりのコメ消費量は月4・4キロ。5キロ5000円とか4000円のコメが高いのか、安いのか、もはや考えるまでもないでしょう」
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