「安い新米が消費者を喜ばせることは賛成です。ただ…」 “コメ大暴落”を前に農家の男性が鈴木農水相に訴えたいこと 「5キロ2000円台を前提にコメを買い取られたら“倒産”するしかありません」
秋に日本のコメ農家は崩壊
JAしまねやJA新潟の「昨年と異なり、今年は最低保証額が提示できない」という発表は、「新米が安く買い叩かれる」という不安を裏付けする“証拠”とコメ農家は受け止めた。
おまけに、ただでさえ歴史的な円安が進行する中、アメリカとイスラエルがイランを攻撃した。これで農業機械の燃料や肥料、農薬の価格が高騰している。生産コストは上昇する一方なのに、買取価格は大暴落する可能性があるわけだ。農家が報道に激しいショックを受けたのは当然だろう。
日本有数の米どころでコメの無農薬栽培に取り組んでいる50歳代の男性は「ギリギリの採算ラインをコメの販売価格から逆算すると、5キロ3000円台となります」と言う。
「ところが今年の新米は5キロ2000円台で売られる可能性も否定できません。2000円代が現実のものとなれば、大多数のコメ農家でコスト割れが起きるのは必然で、日本全国の農家で“赤字”が続出します。『昨年の新米は高値で買い取られた』と報道されました。これは消費者目線なら事実でしょう。しかし生産コストを考えると、コメ農家は『やっと適正価格で買い取ってもらった』が正直なところです。日本経済がデフレ化し、コメは何十年にもわたって極めて安く買い叩かれてきました。コメ農家の経済基盤はボロボロです。そこに今秋、コメ価格の暴落が直撃すれば、コメ農家の“倒産”が相次ぐでしょう。具体的には一気に大量の離農が起きると思います」(コメ農家の男性)
農家の保護は国益に叶う
コメ農家が崩壊すれば、最終的に困るのは消費者だ。コメの生産量が減れば、コメの価格は上昇する。安くて美味しくて安全な主食が消滅してしまう。
食糧自給率の維持は農政だけでなく、安全保障の観点からも重要だ。主食の供給源を外国に依存することはリスクの上昇につながる。他にも水田は自然環境や景観の保護に寄与しており、メガソーラーなど乱開発の防止の役割を果たすなど、そのメリットは枚挙に暇がない。
コメ農家の男性は「日本のコメ生産を政府が積極的に保護することは農家のエゴイズムではありません。日本の国益を守ることにつながるのです」と主張する。
「農家を補助金で手厚く守る先進国は決して珍しくありません。フランスは世界有数の農業国ですが、農業収入の9割が国からの補助金という農家も存在します。一方、日本は特に小規模農家に対する補助が非常に少ないという問題があります。私自身は日本のコメ農家も大規模化を進めるべきだとは思っています。とはいえ小規模農家が日本の“地方”を支えているのも紛れもない事実です。何とか地方で踏みとどまっている小規模農家が離農すれば、都市圏への移住がさらに進み、過疎が加速して深刻な社会問題となります。クマの問題も実は離農が続出していることと密接な関係があります。もう少しだけ国がコメ農家を保護しても、それは税金の無駄遣いにはならないはずです」
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