河合優実の「相手役」は誰なのか 「あまちゃん」チームが集結した朝ドラ「ほんのモキチ」

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演出は退職者

 河合優実(25)がヒロインを務める、朝ドラことNHK連続テレビ小説「ほんのモキチ」(2028年度前期)は、同局の大きな転機となる作品である。朝ドラ史上初めて、チーフ演出家を外部から招く。子会社のNHKエンタープライズ(NEP)との共同制作も初めてだ。制作発表が異例の早さとなった一因もここにある。(高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト)

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「ほんのモキチ」は2028年4月から始まる第118作目の朝ドラ。東京で制作される。制作発表は今年6月4日に行われた。第117作目が未発表のまま、先行して発表されたことに、疑問視する声も上がったが。理由の1つはこれまでの朝ドラとは制作体制が全く異なるからだった。日本のドラマ界でトップクラスのクリエイターが集まる。

 まず脚本を書くのは宮藤官九郎氏(55)。第88作目「あまちゃん」(2013年度前期)に次いで2作目の朝ドラとなる。ただし、脚本家が朝ドラへ再登板することを異例と言いたいわけではない。橋田壽賀子さんは第31作目「おしん」(1983年度)など4作品を書いた。

 本邦初の試みの1つ目は、チーフ演出家を外部から招くことだ。「あまちゃん」と同じ井上剛氏(57)なのだが、今回は事情が異なる。井上氏は2023年に同局を退職しており、現在は株式会社「GO-NOW.」に籍を置くフリーの映画監督、演出家なのだ。

 NHK時代の井上氏は放送文化基金賞など数々の栄誉を手にした。フリーになってからはTOKYO MXの開局30周年記念ドラマ「いいひとりの日」(2025年)を企画し、自ら撮った。大東駿介(40)と松尾諭(50)のダブル主演作で、1時間の完全生放送なのが話題になった。

 井上作品の特色の1つはライブ感を重視し、俳優の予定調和的な動きをなるべく排除する点だ。それを生放送ドラマによって極限まで突き詰めた。ほかに映画の監督なども務めた。

 NHK時代に井上氏が撮った「あまちゃん」が、旧来の朝ドラの常識を覆したのは知られているとおりだ。それまでの朝ドラは道徳的に生きるヒロインの一代記がほとんどだったが、のん(32)が演じたヒロイン・天野アキは隣人のようなごく普通の女性。ちょっと脱けており、特に道徳的でもなかった。アキの日常と成長が斬新なギャグを交えつつリアルに描かれた。

「あまちゃん」の放送2年前にあたる2011年に、宮藤氏の故郷である宮城県などを東日本大震災が襲ったが、アキの第2の故郷である岩手県北三陸市が被災するシーンもあった。日本中を悲しみと衝撃に包んだ大震災がどう表現されるのかと視聴者は固唾をのんで見守った。

 その映像は実写を一切使わず、ジオラマで表現された。陰惨な過去を直接的に描くことを避けつつ、事実から目を背けなかった。宮藤氏の東北への思いを井上氏が忠実に視覚化した。

 やはり宮藤氏が脚本を書いた大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年)のチーフ演出家も井上氏だ。大河ドラマでは不人気の近現代が舞台だったこともあり、期間平均の世帯視聴率は8.2%と振るわなかったが、評価は高かった。国内のコンテンツ関連団体が共同主催した日本初の国際的ドラマ賞「東京ドラマアウォード2020」において、連続ドラマ部門のグランプリを受賞。世界で通用するドラマだと太鼓判を押された。

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