「10円玉」の原価が「10.4円」に! 心配なのは“メルティングポイント” 「溶かして売ろうとする投資家が…」
銅の値段は3.4倍に
普段見慣れている10円玉は、銅と亜鉛、スズの合金(青銅)でできている。金属大手「JX金属」などが発表しているレートから計算すると、6月中旬時点で原料価格の合計は約10.4円。つまり、額面を超えてしまっているのだ。大きな原因は10円玉の95%を占める銅価格の上昇である。
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実際、ここ10年で銅の値段は3.4倍にもなっている。10円玉だけではない。銅と亜鉛の合金である5円玉もすでに原料価格が5円を上回り、1円玉もアルミ価格が額面に迫っている。
日本貴金属マーケット協会の池水雄一氏によると、
「通貨の歴史を振り返れば原材料の金属がコインの額面を超えてしまうことは往々にしてあります。身近な例を挙げると1986年に発行された天皇在位60周年金貨は、額面が10万円ですが、使われている金が20グラムあることから、地金としての価値は、現在40万円以上になるのです。銅は非鉄というカテゴリーに分類され、貴金属より非常に安かったことから10円玉の材料として採用されたのですが、やはり同じことが起きたというわけです」
メルティングポイント
銅の値上がりの背景にあるのは、近年の工業需要だ。EVの材料やデータセンターで使われる電子部品が増えているのはご存知の通り。
一方で、銅はすぐに供給が増やせない。採掘可能な鉱山はほとんど開発されており、新たな銅鉱山は簡単には見つからないからだ。
そんなわけで、10円玉の原料価格が額面を超える状態はしばらく続きそうだが、心配なのは溶かして売却すれば儲かる価格「メルティングポイント」だという。
国内で硬貨をつぶしたり溶解することは法律(貨幣損傷等取締法)で禁じられているが、海外で10円玉を溶かすことまでは止められない。採算が取れると判断されたら、買い占める投資家が登場するかもしれない。実際、1980年代には銀の含有量が60%ある100円玉(稲穂100円硬貨)が、米テキサス州の富豪に買い占められたという事例もある。
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