松たか子、樋口可南子、薬師丸ひろ子、原田知世、松坂慶子…「夫婦とは何か」を考えさせる名作映画5選

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夫婦の別れと出会い

〇「明日の記憶」(2006年)

 ある日、自分の配偶者が若年性アルツハイマー病の診断を受けたら……。長年連れ添った人が、徐々に記憶を失っていく姿を見るほど辛いものはないだろう。本作は、言葉や表情が失われ車椅子に座った夫に、妻が家族の写真を見せ語りかける場面から始まる。そしてここに至るまでの哀しみや葛藤が描かれる。

 佐伯雅行(渡辺謙)は、広告代理店の部長を勤める49歳。有能な仕事一筋の男だったが、打ち合わせの日を忘れたり、道に迷ったりするようになる。妻の枝実子(樋口可南子)とともに医者に診てもらうと、若年性アルツハイマー病の初期と診断された。枝実子はずっとあなたを支えていくと言って手を握りしめる。自分たちにも同じことがおきたらどうするだろうかと、考えてしまう場面だ。

 その後、雅行は会社を退職し家ですごすが、症状は徐々に進行していく。やがて、雅行は妻に暴力を振るったことから、みずから1人で介護施設を訪ねた。その帰途に心配して迎えに来た枝実子と出会うのだが、雅之は「大丈夫ですか」と初めて会う人のように話しかける。妻は恐れていたことがついに来たことを知る。

 原作は荻原浩のベストセラー。小説は雅之の一人称で、症状が進行していく不安が刻一刻と描かれる。妻のことが分からなくなった場面では、雅之はこう言う。「素敵な女性だ」「ずっと昔から一緒に歩いてきたように私たちの息はぴったり合っていた」と。まるで初恋の人に出会ったかのように。この時が2人の新たな出会いだったのだと思いたい。

後悔先に立たず

〇「今度は愛妻家」(2010年)

 薬師丸ひろ子は、14歳の時に「野生の証明」(1978年)でスクリーンデビューした。以来「セーラー服と機関銃」(1981年)や「Wの悲劇」(1984年)などで、80年代アイドル映画の象徴的存在となった。独立、結婚、離婚などを経験し、2000年代からは「Always 三丁目の夕日」(2005年)などの妻・母親役で新たな魅力を発揮している。そんな薬師丸のキャリアの中でも本作は、一味違う作品かもしれない。

 かつては人気カメラマンだった夫・俊介(豊川悦司)は、今は仕事をせずに浮気癖のあるいい加減な男だ。妻のさくら(薬師丸ひろ子)は、そんな夫の面倒を見ながら子どもを持つことを願っていた。しかし、ある日我慢ができずに離婚を宣言。最後に私の写真を撮ってと言う。「対象に興味があるといい写真が撮れるって言ってたよね」と。沖縄旅行の時には「今度の旅行は喧嘩しないようにしようよね」などドキッとする会話が度々登場する。

 前半は新鮮さが薄れた夫婦の日常がコメディタッチで描かれるが、中盤にある事実が明かされると作品の雰囲気がガラッとかわる。そしてこの夫婦への見方も違うものになるのだ。その切り替えを演じる豊川のうまさもあり、2人の好演は高く評価されていくつもの賞を受賞した。

 後悔先に立たずと言うが、今度はではなくずっと愛妻家でいればよかった。そんな思いが身に染みる作品だ。

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