「怒りを露わに、100%の失地回復を狙ってしまった」 高市総理の中傷動画対応“致命的な過ち”を危機管理のプロが指摘する
無実は証拠で示せ
「危機の本質を見極めた上で考えると、処方箋は4つしかありません。“折れる”“戦う”“防ぐ”“かわす”です。今回、高市さんは“防ぐ”を選択すべきところを“戦う”を選んでしまいました」(田中氏)
どういうことだろう。
「疑惑を指摘する記事が出てしまったのは仕方がありません。そこから70%から80%の失地回復を狙うのが“防ぐ”のやり方です。具体的に言えば、100%こちらが悪いわけではないことを主張しつつも、『当方の伝え方が曖昧だった可能性がある』と自らの間違いも認めることです。高市さんのように『動画作成は一切行っていない』とか『週刊誌の報道は認めない』などと言って100%の失地回復を狙う“戦い”を行ってしまうと、かえって責任逃れに見られてしまうのです」(同)
高市首相にはもう一つ失敗があったという。
「証拠を示すことなく“灰色回答”をしたことです。高市さんは当初、『秘書がこう言っている』『秘書は面識がないと言っている』という言い方をしていました。でも、秘書が言ったことが事実かどうかなんて分からないのですから、マスコミや世論は納得しません。それよりも証拠を示して無実を示すべきなのです。企業で不祥事が起きた際、ヒアリングを行うに当たって私が必ず言う言葉があります。『白の人間は証拠で無実を示し、黒やグレーの人間は言葉で無実を主張する』。ですから、先ほど言った記録が重要になってくるのです」(同)
さらにもう一つ、高市首相には大きな失敗がある。
消えた“高市スマイル”
「高市さんは文春の記事に怒りを露わにしました。『文春の有料会員になろうとは思わない』とか気色(けしき)ばんでいましたが、これも間違いです。危機管理としてはどんな時でも論理的に冷静に語ることが大事なんです。具体的にはこう言えばよかった。『5W1Hで事実関係を整理し、明確にしていく案件と捉えています。第三者の目で判断していただきたいので、調査委員会もしくは司直に判断を委ねたい』。選挙違反の疑いがあると言うなら、司直に調べていただきたいと主張するのです。『総理大臣なので(抗議などを行う)そんな暇はない』なんて言うから、かえって怪しく思われてしまうのです。“気色ばむと危機の景色が悪くなる”という言葉もあるくらいですから」(田中氏)
たしかに、いつもの“高市スマイル”は見られない。それこそが野党が狙う“高市下げ”の成果かもしれない。
「今回、動画を依頼したと報じられているのは公設第一秘書です。いわば“高市社長の第1秘書”のようなものですから、高市さんには教育責任と管理責任があるわけです。高市さんがそれらを徹底していれば、今回のように長引くことはなかったと思います。ことほど左様に危機管理というのは事前からの準備が重要なのです」(同)
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