自衛官は「貧乏人」で「人殺し」なのか? 日航機めぐるデマに海自の元最高幹部が警鐘――「マスコミによる深刻な人権侵害は看過できない」

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ナチスと同じ手法

 このような時代にあって、マスメディアの責任は、かつてなく重大である。ナチスの宣伝戦略として知られる「嘘も百回繰り返せば真実になる」という手法が再び社会を支配するようになれば、人類は同じ悲劇を繰り返すことになるだろう。

 日航機に関する青山透子氏の著作を刊行し続けている出版社は、事実に基づかない虚偽のストーリーによって、元自衛官たちを大量殺人の加担者のごとく繰り返し描写してきた。いわゆる「陰謀論」は商業的に売れやすいという業界の構造的事情もあるだろう。出版不況が続く中、真偽の慎重な検証よりも販売部数の拡大が優先された可能性は否定できない。

 護衛艦がミサイルを発射した、航空自衛隊のパイロットがミサイルで止めを刺した、陸上自衛官が火炎放射器で遺体を焼却した――こうした記述がいずれも事実無根であることは、当時の現場を知る存命中の元自衛官たちの実名・顔出しでの証言によって、明確に否定されている。

 彼らが「殺人犯」であるかのような社会的印象を与えられ、その名誉と人格、すなわち基本的人権が著しく侵害されていることは、看過できる問題ではない。自衛官に対する人権侵害を放置すれば、ただでさえ深刻な自衛隊の人手不足に拍車が掛かり、日本の安全保障を根底から脅かすことになるだろう。

 もちろん、「言論の自由」や「権力監視」は民主主義社会に不可欠である。しかし、マスメディア自身が「第4の権力」と呼ばれるほど強大な影響力を持つ以上、その行使に際しては、何よりもまず人権への最大限の配慮が求められるのは当然である。報道と言論に携わる者が最も守るべきものは、センセーショナルな物語ではなく、人間の尊厳そのものだからである。

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 真殿氏が新潮QUEに寄稿した論考【なぜ政府は日航機「撃墜説」を放置してきたのか 陰謀論が国民の「生命・人権」を脅かす時代】では、学界や報道機関が果たすべき責任、外国の情報機関がこうした陰謀論を利用する手法について、詳細に論じている。

デイリー新潮編集部

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