子どもが私立理系に進学したら「老後資金が吹き飛びました」 学費672万円、大学院進学、浪人…文系親が受けた衝撃【FPが助言】
「就職のことを考えると理系が安心」。そう思って理系進路をすすめる親は多いもの。しかし、忘れてはならないのが、私立理系に進学したときの学費の高さだ。日本政策金融公庫などのデータによれば、私立文系の4年間総額が平均約485万円であるのに対し、私立理系は約672万円。さらに理系の場合は、文系よりも大学院(修士課程)への進学が一般化していることも忘れてはならない。教育費に全てを吸い取られた親が、老後を破綻させずに生き抜くための戦略をFPの八木陽子さんが提言する。
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【case】「まさかここまでとは」文系親が驚く私立理系の学費
「自分自身が文系学部だったので、理系の学費がこんなに膨らむなんて想像もしていませんでした」
都内在住の志桜里さん(仮名・52歳)は、そう苦笑する。志桜里さんには、現在、私立大学2年生の長男と、高校2年生の長女がいる。長男が高校生の時、「将来は機械の設計をやりたいから理系に進む」と言い出した際、志桜里さんは「がんばれ」ともろ手を挙げて賛成した。共働きで世帯収入は1000万円あり、さほど教育費が負担になるとは当時は考えていなかったのだ。
「理系の学費が高いということは、なんとなく耳にしていました。が、息子が入学してみると想像以上でした。授業料や施設設備費、実験実習費などで毎年150万円以上がかかります。求められるパソコンのスペックは高く、30万円かかりました。教科書も1冊5000円から1万円程度するなど高い。理系のキャンパスは郊外にあることが多く、息子の場合も定期代が月1.2万円かかる。地味に痛いですね」
さらに衝撃だったのは、長男の周囲の先輩や同級生の「半分以上が大学院に進学する」という事実。理系の専門職として就職するには、大学院の修士課程まで進むのが事実上のスタンダードになっているのだ。
「大学を出た後も、院でプラス300万円以上かかるのかと思うと、目の前が暗くなりました。下の子の進学も控えています。これでは私たちの老後資金が完全になくなりそうです」
長女も理系を志している。しかも「憧れの研究室がある早稲田大学に、浪人してでも行きたい」と宣言して、勉強をがんばっているのだ。
「子どもたちのがんばりに水を差したくないんです。老後費用を守りながら、なんとか教育費を工面することは可能なのでしょうか」
FPが警告:「浪人・私立は絶対ダメ」と言えない親心
「『我が家には余裕がないから、絶対に浪人はダメ、私立は無理だから国公立しか許さない』。きっぱりそう言うべきだと考える人は多いし、実際にそう釘を刺している親御さんはたくさんいます。でも、いざがんばっている子どもに泣きつかれた時、突っぱねるのは難しいものです」
教育費事情に詳しいFPの八木陽子さんは、教育費の捻出に悩む親心に長年寄り添ってきた。
「今の保護者は氷河期世代ですから、少しでも就活に有利ならと理系進学を後押ししたいと考えがちです。また、わが子が全落ちしたからといって、『明日から働け』とは言えないのが親心です。結局、どんなに家計がきつくても、親は自分の老後資金を削るか、奨学金や教育ローンを利用してでも学費を払ってしまうものなのです」(八木さん、以下同)
八木さんの元を訪れる相談者は、2極化しているという。一方は、子どもが小さいうちから大学院進学や浪人の可能性までを完璧に見積もり、「3人分の大学院費用を含めたキャッシュフロー表を作ってほしい」と依頼してくる、極めて計画的な富裕層の親。そしてもう一方は、学校主催の教育費講演会などで初めて現実の学費を知り、「えっ、そんなにかかるの!?」と愕然とし、講演会後に青い顔で「どうやってそんな大金を用意したらいいのか」と質問してくる親たちだ。
「理想は理系進学を見据え、予想される学費の少なくとも半分、目安として350万円を子どもが生まれてすぐから貯めはじめておくことです。それができていない場合、大学進学が近づくにつれて、塾代や予備校代、そして高額な学費がボディブローのように親の財布を直撃し、一気に老後破綻の危機へと突き落とされるのです」
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