財務省が検討を開始した「アニメキャラの記念コイン」 実際に発行されたら高騰するのか? 老舗コイン商は「意義は大きい、けれども…」

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発売当日は行列ができるか?

 現状、日本政府が公式に発行する記念コインは、「東京オリンピック」や「天皇陛下在位10周年」、「大阪関西万博」といった特別な行事に関連したものに限定されてきた。財務省は法改正を行うことで、これまでは発行できなかった記念コインの発行を目指しているようだ。では、こうした記念コインが発行されたとして、実際にどれくらいの人気が出るのか。

 まずは記念切手の事例を挙げてみよう。1997年に発行された「戦後50年メモリアルシリーズ」の第5集は、石原裕次郎、美空ひばり、手塚治虫の3人を題材にした切手が発行された。芸能人や漫画家の顔をメインで扱った先駆的な事例で、特に手塚の切手は漫画・アニメのキャラをしっかり描いた切手として話題になり、発売当日は郵便局に行列ができた。

 ただ、その後にアニメや漫画を題材にした記念切手はかなり発売されたものの、それほどの話題にはならなかった。記念コインも、高度経済成長期やバブル期には両替のために銀行に行列ができたが、令和の時代にはそれほどの列ができたというケースは聞かない。

 ただ、今回の事例はおそらく“史上初”という効果もあって注目度が高い。メディアも大きく取り上げると予想され、コインに対する投機熱が高まっていることを踏まえれば、富裕層や投資家の熱量も高まるのではないかと予想される。そして、コインコレクターではない、作品のファンの関心も集めそうだ。

アニメファンは入手できるか?

 そうした事情が絡むがゆえ、こうした記念コインの販売を危惧する声もある。アニメファンの間では「手に入れたい」「ぜひ見てみたい」「宝物にする」などの声が上がっているが、そもそも手にできる人は少数ではないかと思われる。現在、金貨を中心に記念コインの価格が高騰しているためだ。

 おそらくだが、記念コインは金貨や銀貨などのプレミアムなものを中心に発行されると思われる。しかも、額面は1万円でも、販売価格はその何倍もの額になることが多い。地金価格が高騰している影響もあって、金貨なら10万円を超えることも想定される。こうしたコレクター向きの記念コインは銀行で両替できず、インターネットなどを通じて申し込み、抽選形式になるのではないかと、筆者は予想している。

 アニメ・漫画の記念コインが発行されることを、コイン商はどう見ているのだろうか。コインのオークションなどを主宰する、日本を代表するコイン商「銀座コイン」の竹内三浩氏は、このように話す。

「アニメや漫画などの日本のコンテンツは、今や国が認める日本文化そのもの。これを日本の造幣局が法定通貨として発行する意義は大きいと考えます。これまで造幣局が発行する記念コインは、海外のロイヤルミントやモネ・ド・パリに比べて少なかっただけに、貨幣業界としても歓迎したい試みです。あとは、額面や材質、発行枚数と価格のバランスをいかに取るか。金貨や銀貨だけでなく、親しみやすい額面も含め、丁寧に検討してほしいと思います」

 竹内氏のコメントから考察するに、金貨や銀貨が発行される場合は、なかなかアニメファンには手が出なくなりそうな予感がしてしまう。記念コインに転売屋が群がり、コンテンツの評判を下げる事態になったら悲しいことだ。財務省はぜひとも、手に取りやすい100円や500円の額面の記念コインも潤沢な枚数発行し、たくさんの人のもとに届くようにしてほしいと願っている。

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