日本人の“コメ離れ”が加速も…なぜ農水省は“減産で高値維持”の方針を変えないのか 専門家が「コメ価格を安くすることは農家にとっても有益」と指摘する理由

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さらにコメを食べない可能性

 家計調査を見てみよう。まず令和の米騒動が起きる前、2023年に「2人以上の世帯」は約33・3キロのコメを1年間で購入した。

 夏に令和の米騒動が起きた2024年は33・1キロ、そして価格の高騰が社会問題となった25年は34・5キロのコメを購入している。

「いずれも誤差の範囲内と見ることも可能でしょう。ただし、25年にコメの購入量が増えたことに注目する専門家・関係者もいます。つまり令和の米騒動が起きた原因の一つに『コメが足りなくなるらしい』という危機感を一部の消費者が抱き、家庭におけるストックを増やしたことが挙げられます。となると消費者は将来の需要を“先食い”した可能性が出てきます。今年は25年産のコメが高値で売れず、在庫がだぶついています。これに今年の新米が加わるとコメの販売価格が安くなり、消費者が安堵しても不思議ではありません。安堵すると『コメを買わなきゃ』という意欲も減少する可能性があります。すると場合によっては今年の秋以降、コメの販売価格が下がったにもかかわらず、購入量も減ってしまうことも考えられるのです」(同・大泉名誉教授)

コメを安くする大きなメリット

 大泉名誉教授は「本来であれば、コメはたくさん作ったほうがいいのです」と指摘する。だが、農水省の政策は常にコメの生産量の抑制に向かっているという。

「私は日本のコメ栽培の未来を守るためには、コメ農家の大規模化は不可避だと考えています。今、ものすごい勢いでコメ農家の離農が進んでいます。なぜ離農が止まらないのか、実はコメの販売価格の高い安いは主な要因ではないのです。離農しているのは圧倒的多数が耕作面積の小さな兼業農家で、その理由は高齢化です。子供たちは都市部に出ているか、親の近くに住んでいてもコメ農家を継ぐ気はありません。コメをたくさん作れば、基本的に価格は安くなります。いくら『日本人のコメ離れ』が進んでいるからといっても、安くて美味しいコメは消費者にとって魅力的なのは間違いありません。コメの価格が安くなれば、さらに円安の追い風を受けて輸出競争力も増します。国が『コメはたくさん作って大丈夫。政策でも保護する』という姿勢を明確にすれば、離農して作り手のいなくなった田んぼを引き受ける農家は増えるはずです。日本における未来のコメ作りを支える大規模化が進みます」

輸入米を増やすだけ

 ところが大泉名誉教授によると、農水省の本音は「さらに生産調整を推し進め、コメの生産量を減らすことで、価格を高値に誘導しよう」だという。

「コメの値段を高くすることで、農家の収入を増やそうとしているわけです。これでは消費者のコメ離れがさらに加速する恐れがありますし、適切な大規模化も進みません。さらに懸念されるのは、日本人がコメを外食や中食で食べることが増えてきたという点です。つまり最近のコメ農家は家庭用より外食産業に卸すコメのほうが多くなっているのです。そして国産のコメ価格が高値で安定してしまうと、輸入米にシフトする動きが必ず出ます。高額の関税をかけても輸入米のほうが割安ということになれば、外食産業は基本的に利潤を追求しますので、国産のコメから離れていきます。日本のコメ農家にとって痛手であることは言うまでもなく、この点からもコメの価格を安くするのは重要なのです」

 第1回【スーパーの“コメ安売り”に歓喜の声も…新米の季節を前に専門家は「備蓄米の買い入れで“高値維持”の可能性」を懸念 コメ支出が“前年比1・5倍”に急増した2025年「コメ騒動」の余波】では、2025年のコメ高騰がどれほど異常だったのかをお伝えしている。

 さらに鈴木憲和農水相は備蓄米の入札や買い戻しなどを利用して露骨な“買い支え”の姿勢を見せていることについても詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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