イラン合意「覚書」巡り「最悪の失策」「愚か者」と応酬…「トランプ氏の米国」で止まらぬ分断と悲観 宗教離れの若年層は社会主義へ向かう
政治経済システムに対する国民の不満
トランプ氏に振り回され続けている米国は、7月4日に建国250年を迎える。だが、国民の間に広がるのは将来への悲観だ。
ロイター/イプソスが12~15日に実施した世論調査で、38%が「今から250年後に米国が単一の国家として存在しているとは思わない」と回答した。この38%には民主党支持者40%と共和党支持者26%が含まれている。
調査が実施された頃、世間ではトランプ氏が祝賀行事に持ち込んだ党派色の強い演出が物議を醸していた。別の質問項目でも「米国を世界で傑出した存在と見なす」は30%と、トランプ氏の1期目(2017年11月)の38%から低下した。
注目すべきは、富裕層にも同様の傾向がみられることだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナルが19日に発表した世論調査の結果では、上流階級と上位中流を合わせた富裕層の86%が「子どもたちの生活が自分たちより良くなる確信が持てない」と回答した。その理由は「米国の政治経済システムは自分たちに不利だ」との回答が2017年の29%から65%に大幅に増加したことからうかがえる。
もっとも、システムへの不満は中流階級以下の方が顕著で、中流階級は72%(2017年は42%)、低所得者層は86%(同52%)だった。
「アメリカンドリーム」は今や昔だ。
若者の宗教離れと社会主義の浸透
米国で世代間の価値観の違いが顕著になっていることも気がかりだ。
米世論調査企業ギャラップが16日に発表した調査結果で、65%が「多くの米国人が宗教的になることは社会にとって良いことだ」と回答した。だが年齢別にみると、18~34歳が49%にとどまったのに対し、55歳以上は75%と大きな開きがある。
宗教離れが進む米国の若年層に浸透しているのが社会主義だ。
米シンクタンクのケイトー研究所が昨年実施した調査で、30歳未満の米国人の3分の2が社会主義に、3分の1が共産主義に好意的な見方をしていることがわかった。資本主義の弊害に悩まされ、日々の生活に苦しむ若者にとっては、経済的な平等が何より大切だというわけだ。
共産主義の祖とされるマルクスが「宗教は民衆のアヘンである」と毛嫌いしたように、宗教と社会主義は「水と油」の関係にある。だが、米国では両者がともに影響力を強めているのだ。
思い起こせば建国200年にあたる50年前、1976年の米国も社会の分断に苦しんでいた。ベトナム戦争やウォーターゲート事件、石油危機に起因する経済の不振などが原因だったが、指導層は国民の自信を回復し、分断を埋めるための取り組みに努めたと言われている。
だが、トランプ政権が現在計画している記念行事のほとんどは、「白人キリスト教徒による建国」を想起させる仕掛けとなっている。支持層の福音派を意識したのだろうが、これでは国民を結束させるどころか、社会の分断が後戻りできないほど進んでしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。
悩める超大国の今後の動向について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。
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