1日100本の「中傷動画」で選挙は動くのか……ショート動画の拡散アルゴリズムが語る“疑惑の深層”

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ショート動画の拡散アルゴリズム

 問題は、それで世論を動かせるのかどうかである。

 選挙ドットコムが衆院選に際して選挙関連のYouTube動画の総再生回数を調べたところ、総数は約28億回に上った。そして、そのうち約8割は、政治家や政党本人ではなく、第三者によるものだった。この第三者による動画の多くは、いわゆる切り抜き動画に該当する。

 これらの切り抜き動画をはじめ、ショート動画の拡散アルゴリズムには独特の性質がある。最初は数十人から数百人程度の少人数に動画を見せ、「いいね」ボタンの押下、コメント、共有、最後まで視聴を完了した割合など、ユーザーの反応を測る。そのうえで、初速の良い動画をさらに数千人に展開し、勢いが続く動画はより多くの人のフィードに表示される。細かな仕組みはプラットフォームごとに異なるが、どの社もおおむねこうした推薦のしくみを実装しているとされる。

 つまり、ショート動画を拡散して世論を動かそうとするなら、途方もなく大量の動画を投稿する必要がある。どの動画が大量に再生されるかは、投稿してみなければ分からない。一方、動画の制作コストは下がっているため、多くの投稿者が「大当たり」を狙って大量に動画を投下する。その試行回数の積み重ねが、選挙期間中の28億回もの再生回数を生み出したと考えるべきだろう。

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 ショート動画はどこまで選挙に影響を与えるのか。「新潮QUE」では、【高市「中傷動画」で世論操作はできるのか――ショート動画の拡散アルゴリズムから考察する】として、「中傷動画」が世論に与えた影響をさらに検討する。

米重克洋(よねしげ・かつひろ)
JX通信社代表取締役。1988年山口県生まれ。聖光学院高等学校(横浜市)卒業後、学習院大学経済学部在学中の2008年に報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、国内の大半のテレビ局や新聞社、政府・自治体に対してAIを活用した事件・災害速報を配信するFASTALERT、600万DL超のニュース速報アプリNewsDigestを開発。他にも、選挙情勢調査の自動化ソリューションの開発や独自の予測、分析を提供するなど、テクノロジーを通じて「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。著作に『シン・情報戦略』(KADOKAWA)。

デイリー新潮編集部

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