「国民の理解望む」と述べられた天皇陛下の真意とは…皇室典範改正案を「入念に吟味されたからこそでは」との声
血筋が遠く離れた「一般国民」
『昭和天皇-「理性の君主」の孤独』(中公新書)が10万部を超えるベストセラーとなった日本大学教授の古川隆久氏も、12日付の東京新聞や北海道新聞、西日本新聞の朝刊に掲載された時事通信の配信記事で、女性天皇容認が多数となっている世論調査の動向と養子案が乖離している問題を指摘している。
また、上皇陛下が生前退位への想いをにじませたビデオメッセージをきっかけにコメンテーターとして知られるようになった象徴天皇制の専門家で、名古屋大学大学院教授の河西秀哉氏も、5月5日付の山陰中央新報や岐阜新聞の朝刊に掲載された共同通信配信の記事で、今の天皇家と血筋が遠く離れた一般国民が、いきなり皇族になることに対して国民が心情的に受け入れられるのか「不透明だ」と指摘した。
長年、日本テレビで「皇室日記」のキャスターを務め、5月2日に亡くなった久能靖氏も、以前から養子案について「国民の納得」という観点から反対の声を上げていた。
先の宮内庁OBは、こう語る。
「天皇陛下は、菊栄親睦会という旧宮家と今の皇室メンバーの方々との親交を深める会合に出席され、幼少期から旧皇族方やそのご家族と交流されています。宮内庁の庁舎内にも『菊栄親睦会』と書かれたプレートを掲げた部屋が設けられているほど公的な団体で、陛下と旧皇族の皆さん方との関係はとても良好です。陛下が養子の受け入れを忌避される道理もなく、むしろ歓迎したいお気持ちだと思います。だからこそ、養子縁組は国民から理解を得たものであって欲しいとお考えなのでしょう」
つまり、国民の理解を得ていないから養子はダメだという意味ではなく、国民が十分に納得していない段階での“拙速”な決め方に釘を刺した――ということのようだ。宮内庁関係者はこう語る。
「昨年の米価格の高騰に代表されるように、物価上昇に国民生活は窮する一方で、無為無策な国会への不満は爆発寸前と言えます。自民党の歴史的大勝利は支持率のアップではなく、『責任を取ってなんとかしろ』という叱咤の裏返しということでしょう」
物価高や子育て、高齢者医療に有効な手立てを打ち出せず、「何も決められない国会」のレッテルを回避するため、議論を深めぬまま“変えた”という、表面的な結果だけを求めるような皇室典範改正の動きに、天皇陛下は一石を投じられたということか。
会見でのご発言は、憲法で「国政に関する権能を有しない」と規定され、政治的な発言を禁じられた陛下なりの、国会への警告なのかもしれない。
[3/3ページ]

