“おばあちゃんの趣味”にZ世代が夢中…夏でも「編み物」ブーム 針と糸が変えた令和ならではの納得事情

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 長らく「おばあちゃんの趣味」といったイメージの強かった“編み物”だが、その認識はもう古い。今や、若い世代やオシャレな女性たちの間で、異例のブームとなっている。

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 最初の火付け役となったのは、世界的人気を誇るK-POPグループ「LE SSERAFIM」のSAKURA(宮脇咲良)だ。2023年11月に《賢明な趣味生活》として、編み物道具と初めての作品と思われるシンプルなリボンを公開。そのわずか12日後には《Made in KKURA(ックラ=SAKURAのニックネーム)》のコメントと共に、リボン付きのニット帽を披露した。その完成度の高さと可愛さが話題となり、瞬く間に若い女性たちの間で「編み物」がトレンド化していったのだ。

 街の手芸店では毛糸が売れ過ぎて店頭から消え、多くの100円ショップで特設コーナーが設けられるも、転売が発生。今年5月には初夏であるにもかかわらず「スリーコインズ」からグッズやキットが発売された。

 編み物ブームの波は芸能界にも広がり、女優の小芝風花や佐々木希、モデルの山田優など名立たる有名人たちもSNSで自作の編み物作品を披露。また、タレントのてんちむが原宿に毛糸店をオープンさせたほか、ブームのきっかけを作った張本人であるSAKURAも大手通販会社・フェリシモとコラボしたブランドをこの6月に立ち上げている。

 驚くのはブームの持続力だ。通常、編み物といえば寒さとともに盛り上がりをみせ、暖かくなるにつれ落ち着いていく「冬の風物詩」。だが、汗ばむ季節を迎えた今も、その勢いは衰える気配がない。

 それは、編み方のスタイルそのものが、かつてのブームとは決定的に違うことが大きな理由のようだ。令和の今、なぜ編み物がこれほど人々を熱中させるのか。専門家や愛好家に、その背景を聞いてみた。

でっかいセーターから、ちっちゃな小物へ

 かつて昭和や平成の編み物ブームといえば、何週間もかけて、太い棒針を何本も動かし、恋人や家族のためにセーターやマフラーを編み上げる……というのが定番だった。

 しかし、令和のブームの主流は、1本の針だけで完結する「かぎ針編み」だという。ハンドメイド記録サイト「てといと」を運営する入江由美さんは、その変化をこう指摘する。

「昔は大物を作るのが主流でしたが、今の若い方は動画などを見ながら、手軽に編めるニット帽や小物、小さいあみぐるみ、簡単なバッグなどを、かぎ針でサクッと作ってしまう方が多いですね」(入江さん)

 ハンドメイド雑誌『COTTON TIME』の池田直子編集長も、かぎ針の最大のメリットは、その圧倒的な手軽さにあると語る。

「棒針編みは主に長くて持ち歩きづらく、しかも2本必要です。カバンからかぎ針1本と毛糸玉をさっと取り出せば、どこでもすぐに編むことができます。通称“モバイル編み”と呼ばれ、バッグに道具を入れて持ち歩き、電車の移動時間や、スタバなどのカフェでのちょっとした隙間時間に、スマホショルダーやイヤホンケース、チャームといった小さなものを編む人も増えています。30分くらいで完成するものもあって、手軽に達成感を得られるのも人気の理由です」(池田編集長、以下同)

 棒針に比べて比較的とっつきやすいかぎ針ならば、初心者でも直線だけでなくカーブや複雑な形も取り入れやすいという。池田編集長曰く、「まるで粘土」のように、自由な発想で立体物をたやすく作れてしまうことも魅力の一つであるようだ。

「最近は若い男性でも編み物にハマる方が続出しています。妻へのプレゼントから編み物を始めた男性の人気のSNSアカウントもありますし、“個性的なものやアーティスティックな作品を作りたい”というアート心を持つ男性にも受け入れられています」

 ブームを巻き起こしたSAKURAより早く、編み物に目覚めていた男性有名人も実は少なくない。五輪で金メダルを5回獲得した元飛び込み選手、トム・デイリーが東京五輪の競技会場で編み物をして世界中で話題を呼んだのは2020年。2021年にスタートした男子高校生の編み物漫画『ニッターズハイ!』はヒットし、舞台化もされた。さらにさかのぼると、編み物本やワークショップを開催する現在52歳のお笑い芸人、アイパー滝沢が編み物と出会ったのは38歳の頃であるそう。「男性が編み物を楽しむ姿」は確実に定着しつつある。

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