アメリカの高校野球では「7イニング制」が定着…夏の甲子園は炎天下でも「9回2アウトから」のドラマにこだわるべきか
現場の意見は?
実際に試合を行う現場の声はどうなのでしょうか。
今年春のセンバツ高校野球大会に出場した全32校の監督に行った7イニング制導入に関するアンケートでは「反対」21人、「どちらかといえば反対」4人、「どちらともいえない」6人、「どちらかといえば賛成」1人、「賛成」0人という結果が出ています(日刊スポーツのアンケートより)。
この結果を見る限り、反対意見が大勢を占めています。
「野球は9イニング」というのは日本人にとっては常識であり、日本に野球が伝わって以来、プロ野球はもとより、アマチュア野球も9イニング制で試合が行われてきました。
常識を覆すのは、人間にとって容易なことではありません。
高野連が最終報告書と同じ日に発表した7イニング制について、加盟校と一般を対象に実施したアンケート結果を見ると、加盟校では約7割が反対しています。一方、調査会社に依頼した一般対象のアンケートでは、逆に賛成が約40%、反対が約25%という結果だったそうです。
面白いのは、一般の意見で、女性は全世代で賛成意見が多かったそうですが、男性、しかも高校野球に普段から関心がある、野球経験があると回答した人ほど反対意見が多かったとのことです。
反対する理由としては「打席数や投球数が減り、プレー機会が奪われる」「8回、9回にドラマがある」といった意見が寄せられたそうです。
「8回、9回にドラマがある」という意見について私の記憶をたどってみます。
中日ドラゴンズが星野仙一監督の第1次政権時代に優勝した1988年、この年は8回に劇的な逆転をする試合が多く、ファンは「ミラクル8」と呼んで、負けていても終盤の逆転を期待しました。
第2次政権、当時のナゴヤドームに本拠地が移って後に初めての優勝となった1999年には、地元での最終戦で9回表に阪神ジョンソン(58)に逆転3ランを浴びたものの、その裏に山崎武司(57)がレフトスタンドへ逆転サヨナラ3ランを叩き込み、打った瞬間に山崎が打席で万歳ポーズをとったのは、ドラゴンズファンにとって今でも忘れられない光景です。
「野球は9回2アウトから」とは、野球経験者ならだれでも口にする野球の格言です。
しかし、これは「野球は9イニング」が常識だからこその格言であり、7イニング制になれば「7回2アウトから」になるのではないでしょうか。7イニング制になれば「6回、7回にドラマがある」と言われるようになるかもしれません。
高野連が7イニング制を議論するうえで挙げている課題には、熱中症リスクの回避に加え、まだ成長過程の高校生投手が球数を重ねると故障を引き起こすリスクの回避、さらに社会全体の問題でもある「働き方改革」も挙げられています。7イニング制導入で、拘束時間の短縮などが期待されるとしています。
高野連が2023年に実施した実態調査では、監督の92.9%が教員、3.0%が事務職員で、高校野球とは全く別のところで議論されている「教員の部活動による負担軽減」や「長時間労働の改善」と無関係ではないことを示しています。
今回、この話題を取り上げるにあたり、いろいろと調べて驚いたことがあります。野球発祥の地アメリカでは、高校までは昔からずっと7イニング制で試合が行われており、選手の体力などを考慮して、というのが一番の理由のようです。
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