「まさか日本でこんなことが起きるとは…」 徳島県が“気鋭の建築家”の展覧会に「中止要請」 渦中の建築家「石上純也氏」が明かす胸中

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中止要請を受けて大混乱に

――県から展覧会の開催に対する中止要請を受けた時の、率直な感想を教えてください。

石上:話を聞いたとき、にわかには信じられなかったです。とにかく驚きました。5月29日、JIAの担当者から連絡があり、「県の担当者から電話で中止の要請を受けた」と聞きました。びっくりしましたが、その時は口頭でのやり取りだけだったこともあり、開催自体は問題なくできるだろうと考えていました。ところが、翌日の夜、JIAに正式に書面で中止要請が届いたのです。

 6月1日の開催に向けて準備作業を進めていたのですが、中止要請に従い、準備も取りやめざるを得ない状況になりました。しかも、30日は土曜日。31日が日曜日でしたから、中止になったことを知らせるプレスリリースなどを、マスコミなどの関係機関に出すこともできなかったのです。

――中止要請を受けてからの混乱ぶりがわかります。そもそも今回のプロジェクト自体が二転三転し、混乱に陥っています。石上さんの案で進んでいれば、ホールは来年には開館していたわけですが、まだ設計者すら決まっていない状況にあります。

石上:僕たちのプロジェクトは既に実施設計が終わって、GOサインさえ出れば、いつでも工事が始められる状態にあります。ところが、県は僕たちの案を放置し、新しく公募を始めました。その最初の条件は、施工業者と設計者がジョイントベンチャーを組み、応募するというものでした。ところが、2回とも応募者がいなかったのです。

 これだけの大規模なホールの場合、参加できる施工業者は限られてきます。事実上、スーパーゼネコンクラスしか出られない状況ですし、ゼネコンが選んだ建築家しか参加できないともいえます。今やスーパーゼネコンも仕事が多いですし、混乱のなかでリスクを冒してまでやりたくないというのが本音。だから不調に終わったと考えています。

――迷走するなかで、3回目の公募が始まりました。奇妙なのは、ジョイントベンチャー形式をやめ、設計者だけの公募に変更している点です。確かに、施工業者を外し、設計者だけなら応募者もいるでしょう。来年の知事選の争点になるのは間違いありませんし、後藤田知事も成果を見せるためにも3回目の公募は成功させなければ、と思っているのかもしれませんね。

石上:しかし、設計者がいくら決まっても、そのあとに図面を書くために最低でも2年は要することになるでしょう。さらに、いくら図面を完成させたところで、建設業界はどこも多忙な状況にある。果たして、これだけ混乱したプロジェクトをすぐに引き受けてくれる業者が見つかるでしょうか。前途多難であることは確実だと思います。

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