一体、犯人は誰なのか 録画視聴率トップ「田鎖ブラザーズ」を徹底考察 両親殺しの“核心”
ふみの怖さ
おそらく、もっちゃんは辛島夫妻に大きな弱みを握られている。第6回にはふみから「あの兄弟から証拠を盗んできて」と頼まれた。津田が銃密造について取材したノートである。密造銃の販売先と見られる五十嵐組によってシュレッダーにかけられてしまったが、稔が復元しようとしていた。
第7回、もっちゃんはふみの依頼を断った。「子供のころから知っている、あの兄弟は裏切れない」。すると、辛島はこう凄んだ。「オレたちはどうなってもいいのか」
弱みがあるとしか考えられない。もっちゃんが大切にしている母親・カル(三谷侑未)に関することか。カルは辛島家で家政婦をしている。人質に取られているようなものである。
ふみは上昇志向が強いようだ。もっちゃんに兄弟の持つ証拠を盗むよう頼んだとき、「妙な噂が立ったら仕事に影響するから」と言った。盗みを依頼するときの言葉とは思えない。仕事で名を成すことが第一であるらしい。
銃密造を知る津田もふみには仕事の邪魔になる存在だった。第6回の回想シーンで津田はふみに取材ノートを売りに来た。だが取引が成立しないまま、やがて津田は五十嵐組に襲われる。取材ノートは奪われた。
このとき、津田は簡易宿泊所で寝泊まりしていた。いくら反社が情報通とはいえ、住民登録をしていないのだから、そう簡単には居所を突き止められない。ふみが教えたのだろう。津田は第3回で死んだとき、ふみの携帯電話の番号を所持していた。おそらく津田はふみに自分の居所を教えた。
かつての銃密造と事件の隠蔽工作も主犯格はふみではないか。今、兄弟の動きを不安がる辛島を、「お父さんは何も心配しなくていいの」と慰める。その姿からも主体的に行動していることを強くうかがわせる。
銃密造の理由がふみの手術代なら、積極的に動くのも分かる。自分のためなのだ。しかも事件当時は足が不自由だったので、捜査圏外に逃れやすい。田鎖兄弟の両親殺害もふみが企図し、五十嵐組かほかの人間が実行したと推理する。
まだ大きな謎がある。晴子は事件時、どうして田鎖宅前にいたのか。この物語の大きなテーマは「復讐の是非」である。晴子も復讐のために行動していたからではないか。
漁師だった晴子の父親は酔って海に落ち、死んだという。「もう何年も前だけど」(第5回)。晴子は詳しく語らない。母親と弟はそれより前に事故死した。
気になるのは密造銃の受け渡し場所か密輸船の出発地であると見られる港が、晴子の父親の仕事場でもあること。港にいた晴子の父親は密造銃について見てはならぬことを見たのではないか。
父親は五十嵐組によって海に沈められたと見る。後処理は五十嵐組と癒着していた笹岡元刑事に任せれば造作なくこなせただろう。現場には朔太郎もいたと見る。
晴子は父親の死に朔太郎が絡んでいたことを知り、事件当夜は田鎖家を見張っていた。その中で朔太郎と由香は殺され、家から出てきた犯人に晴子も斬りつけられた。こう考えると、小池係長の「偽物はやめておけ」という言葉に合点がゆく。
小池も善意の人ではないだろう。笹岡による五十嵐組への情報漏洩を知らなかったとは考えにくい。笹岡が情報を流し、小池がそれを隠蔽したため、両親殺害の捜査線上に五十嵐組の名前が挙がらなかったのではないか。だから小池は田鎖兄弟や晴子に「あの事件は終わった」と言い含めるのだと読む。
「田鎖ブラザーズ」の人気は上々。先週(5月25日~31日)の週間個人視聴率ランキングでは「未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3」(テレビ朝日)の4.6%、「GIFT」(TBS)と「ボーダレス~広域移動捜査隊」(テレ朝)の3.6%に次ぐ2.8%で4位。「リボーン ~最後のヒーロー~」(テレ朝)、「時すでにおスシ!?」(TBS)も同率で並んだ。
2週間遅れで公表される録画個人視聴率(同11~17日)は3.0%でトップ。個人視聴率は通常の数字も録画も1%で関東の約40万人に相当する。
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