一体、犯人は誰なのか 録画視聴率トップ「田鎖ブラザーズ」を徹底考察 両親殺しの“核心”
朔太郎の頼み事
頼み事は「自分は銃密造をやめたい」か、あるいは「銃密造の特別報酬が欲しい」か。最も現実的なのは「銃密造をやめましょう」ではないか。
まず、兄弟の将来を考えると、悪事をやめたいと思うのはごく自然なこと。特別報酬の要求であっても不思議ではないが、どちらも殺害の理由としては弱い。朔太郎の要求を飲んでしまえば済むのだから。
辛島にとって、最も嫌だったのは密造をやめようと頼まれることだっただろう。銃密造に関わるすべての人間に影響する。ましてや販売先は五十嵐組だ。危険が伴う。もしも朔太郎が「やめなかったら、自首する」と言い添えていたら、震え上がったに違いない。
朔太郎は銃密造に深く関与していた可能性が高い。辛島と会ったあと、やはり自宅に来たノンフィクション作家の津田雄二(飯尾和樹)から、「教えてくださいよ」と密造の内情を問われた。キーマンの1人と見られていた。さらに「田鎖さんも港まで運んでいたじゃないですか」と詰め寄られた。
朔太郎は銃密造に関わっただけでなく、運搬役もやっていたのだろう。港は密造銃の受け渡し場所か、密輸船の出発地だった。朔太郎と津田の接触も第1回の回想シーンで描かれた。
辛島はどうして銃の密造に手を出したのか。すぐに思い浮かぶ理由は山岳写真家の妻・ふみ(仙道敦子)の手術代を稼ぐためだ。そのころ、ふみは山での事故で下半身不随となり、車椅子生活を送っていた。
「もっちゃん」の店主でもっちゃんこと茂木幸輝(山中崇)は第3回で流れた事件前の回想シーンで、こう語った。「手術しないと、良くならない」。手術代が高額だったら、辛島の銃密造の動機に十分成り得る。
謎めいているのが事件とほぼ同時刻、辛島金属工場で小爆発があり、すぐに火災になったこと。同じ第3回の回想シーンによると、小爆発時に辛島とふみは居住スペースにいた。もっちゃんもいたが、なぜか工場で倒れていた。
もっちゃんが工場を訪れたのはふみの代わりに料理のつくり置きをするため。辛島夫妻は住居スペースにいたため、軽傷で済んだように見えたが、もっちゃんは大ケガをしたようだった。
田鎖家と工場は近い。殺人事件と小爆発がほぼ同時に起きるとは出来すぎている。しかし、辛島のアリバイづくりと銃密造の証拠隠滅を狙った意図的なものだったとすると、合点がいく。小爆破は工場で発生したから、現場にいたもっちゃんが起こした疑いが強い。辛島夫婦に頼まれたのか。
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