トクリュウの実行犯は「担い手不足」で4割が10代の少年… 「SNSでの募集が難しくなり、ねずみ講式の人集めにシフト」
不審者が警察車両とカーチェイス
近隣住民が明かすには、
「事件発生の1カ月ほど前の回覧板に、“不審な車があるので気を付けるように”という内容が書かれ、近所の公園に駐車されていた横浜ナンバーの車と小さいバイクの写真が掲載されていました。確かにその当時、平日の昼間に全身黒ずくめの格好をした20代から30代くらいの男性が、スマホを見ながら歩いているのを見ました。この辺りの若い子は、車で移動するので路上を歩くことはありません。公園に止まった車を根城に下調べをしていたのかもしれません」
事件発生の約1週間前にあたる5月6日には、別の不審車が警察とカーチェイスまで起こしていたという。
「被害者宅の農機具小屋に見かけない男数人が現れたため、通報を受けたパトカーが追跡を始めたところ、彼らは軽ワゴン車で逃走。最後は被害女性の次男が車で体当たりをして行く手を阻んだ。運転手は逃走しましたが、この車に付けられたナンバープレートが盗まれたものだったため、車内に取り残された茨城県在住の40代男性を盗品等保管容疑で7日に逮捕しました。車内からは目出し帽が見つかり、警察は被害者宅に忍び込もうとした可能性も視野に入れて取り調べをしています」
この軽ワゴン車の存在こそが、前述した警察庁の広域捜査の引き金となった“共通点”なのである。
普通の強盗団との違い
前出の捜査関係者いわく、
「件の軽ワゴン車と全く同じ車種で同じ色の車が、3月11日に東京・新宿区にある酒類買取店で起きた窃盗未遂事件でも目撃されていたのです。この店では4月にも別の犯行グループが強盗未遂で逮捕された。栃木や都内で複数起きたトクリュウ事件では、標的となった現場や使用された車などが重複するケースが多々あったことが分かっています。実行犯は違っても、同じ黒幕が指示した可能性があるのです」
こうしたトクリュウが絡む事件には、金品のありそうな個人宅や店舗の情報を伝える「リスト屋」、犯行に用いる偽造ナンバーや盗難車を提供する「道具屋」が存在しているとされる。そうした「手配師」とは別に、今回逮捕された少年らのような「実行役」や夫妻が担当した「現場監督」を募るリクルーターがいるわけだが、普通の強盗団と何が違うのか。
「トクリュウとは、秘匿性の高い『シグナル』や『テレグラム』などのアプリで連絡を取り合い、見ず知らずの者同士で犯罪行為を行う集団を指します」
とは、『闇バイトの歴史 「名前のない犯罪」の系譜』の著者で、トクリュウ型の犯罪に詳しいライターの藤原良氏である。
「これまで組織犯罪といえば、暴力団や半グレなどに属する人間が捜査の対象でしたが、トクリュウはいわば“第三勢力”です。ネットで自由につながり、組織に属さず犯罪を行うフリーランスのような存在。その場限りで互いに関係性のない個々人が集まるので、警察が実行犯を捕まえて仲間の名前を吐かせようとしても、なかなか指示役までたどり着かず一網打尽にできません」(同)
連絡手段はもとより、強盗などで得た金品も指示役へ暗号資産化して上納されてしまうため、裏付け捜査が困難なのだ。
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