恋人の「姪」の顔を見て、ひっくり返るほど驚いた…結婚もハメられた? それでも41歳夫が夫婦でいることにしがみつくワケ

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顔を見て「ひっくり返るほど驚いた」

 彼女と一緒に行ってみると、両親が揃って迎えてくれた。ふたりとも60代半ばだというが若く見えた。穏やかそうな両親だった。

「4人でお茶を飲んでいると、2階からとんとんと足音がした。『こんにちは。いらっしゃい』と挨拶をしたのは中学生くらいの女の子。その顔を見て、僕はひっくり返るほど驚きました。由布子さんにうり二つだったんです。僕が言葉も出ないのを見て、千瑛は関係性を説明してくれた。『この子は私の異母姉の子。異母姉は、いろいろあってずっと行方がわからないの』と。その姪が5つくらいのときに、異母姉と一緒に実家に戻ってきたのだが、1年後、異母姉だけが姿を消した。それ以来、両親と私が家族なの、と」

 異母姉の名前をおそるおそる聞いた。やはり由布子さんだった。行方不明というのはどういうことなのか……。もちろん失踪者届は提出しているが見つからない。一度も連絡もない。もう死亡したものと考えてもいいのだが、両親はいつか帰ってくるはずだと待っている。もちろん、その姪も。

「うちは隠しごとはしないの。異母姉はきっと何か事情があって帰れないだけ。この子のことは気にかけているはずだし、私たちもこの子の成長を楽しんでるからと、千瑛は明るく言っていました。姪である由布子の娘も、陰のある感じではなかった。ちょっと友だちと遊んでくると出かけた後ろ姿を見送ってから、千瑛は『異母姉もかわいそうだったの。生まれてすぐ母親に死なれて、父はひとりでは育てきれずに実家に預けた。それでこの母と再婚して異母姉を引き取り、その後、生まれたのが私。そのときすでに異母姉は5歳だったから、もう事情をおぼろげながらわかってる。母は異母姉もきちんと愛したと思うけど、彼女にしてみれば自分はよけいな存在だと悩んだ時期もあったみたいで』と。それが由布子さんのあのなんとも言えない妙な強引さや執着みたいなものを引き起こしていたのかもしれないなと思いました」

バレてる?それとなく尋ねると…

 離婚して戻ってきたのかとさりげなく尋ねると、両親と千瑛さんは静かに頷いた。自分のことを知られているのかもしれないと警戒したが、そんな様子はなかった。

「千瑛は本気で由布子さんのことを心配しているようだったし、両親と千瑛には特にねじ曲がったような暗さも感じなかった。ただ、父親は『由布子には本当にかわいそうなことをした。どうすればよかったのかわからないんですよ、今でも』とうつむいていた。母親も、『由布子は問題のある子ではなかった。いい子だったし、千瑛のこともかわいがってくれた。でも言葉にできない何かがあったんでしょうね』としんみりしていました。こういう家庭状況だから、結婚に対してちょっとね、と千瑛が言うと、『まあ、そのあたりはふたりで話し合ってくださいね』と母親に言われました」

わが身を振り返ると

 どうしたものかと浩太郎さんは本気で悩んだ。千瑛さんとの関係を阻むものはなにもない。ただ、由布子さんへの思いが、そんな「普通に生きたい」気持ちの邪魔をする。

「今も由布子さんを好きだというわけではないんですが、あの頃の彼女を思い出すと、妙な必死さがあったなあ、あれはこういう環境から来ているんだとしみじみわかって、せつないような気の毒なような。これで僕だけ幸せになっていいんだろうかと考えてしまったんですよ」

 自分のせいで、千瑛さんの姪は親と疎遠になったのではないか。少なくとも離婚にいたる要因は浩太郎さんにも責任がないとは言えないのだから。もうひとつ不安だったのは、やはり「他の女性を今後好きになる可能性」だ。由布子さんの情熱を思い出すと、ああいうタイプの女性に言い寄られたら断れないと感じていた。若気の至りとは言い切れないものがあったのだ。

それでも千瑛さんと結婚。なぜならば…

 それでも結局、浩太郎さんは千瑛さんと結婚した。あらゆる葛藤を振り捨て、前に進む道を選んだ。なぜなら千瑛さんが妊娠したと言ったから。

「責任をとるというよりは、単純に自分の子がいたらどういう気持ちになるのか、少なくともかわいいと思えるだろうなと感じて。家庭をどうマネジメントしていけばいいかは、僕にはわからないけど、困ったらきっと千瑛の両親が支えてくれるのではないか、千瑛の姪っ子にも僕たちのところに遊びに来てほしいし、なんてドラマみたいなことを考えていたんですよ」

 派手な式などは挙げず、千瑛さんの両親と姪と食事をした。千瑛さんの体を慮って、彼は家事のほとんどを引き受けた。

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