なぜ「ダチョウ倶楽部」は40年も愛されてきたのか 他の芸人とは決定的に違っていたこと

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絆そのもの

 ダチョウ倶楽部の芸は幅広い世代に支持されてきた。芸人の評価は世代によって分断されやすい。上の世代には認められても、若い世代からは古く見えることがある。逆に若者に支持される芸人は、上の世代からは軽く見られることもある。しかし、ダチョウ倶楽部はその分断をすり抜けてきた。なぜなら、彼らの芸はリアクションやギャグといった人間の原初的な部分に根ざすものだからだ。

 現在のテレビでは、かつてのように過激な体を張った芸をそのまま放送することが難しくなっている。コンプライアンス意識が高まり、視聴者の受け止め方も変化した。ダチョウ倶楽部の芸も、現代の基準ではそのまま再現しにくいものもある。

 しかし、それでも彼らが懐かしさだけでなく敬意をもって語られるのは、彼らの笑いが本質的には暴力ではなく信頼に基づいていたからだ。熱湯風呂もおでん芸も、根底にはたしかな技術と信頼があるからこそ、人々はそれを娯楽として安心して楽しむことができる。

 今回の40周年イベントが話題になったのは、単に豪華ゲストが集まったからではない。そこには、芸能界の人々がダチョウ倶楽部に対して持っている敬意が表れていた。彼らはテレビの歴史の中で、何度も人を笑わせ、何度も共演者を助け、何度も場を成立させてきた。ときには主役として、ときには脇役として、ときにはただ落とされる人として、彼らはバラエティの現場を支えてきた。その蓄積が、40周年という節目に一気に可視化された。

 ダチョウ倶楽部の笑いとは、人と人をつなぐ絆そのものなのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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