覚醒剤の密売で名を馳せた“美しすぎる姐さん”が「女には絶対にシャブを売らへん!」と言い続けた理由…「シャブは“女の骨までシャブる”んだ」

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「これがうちのルールや!」

 韓国のニュースメディア「KOREA WAVE」(4月28日付)に、興味深い記事が掲載されていた。「韓国で女性の薬物事犯がここ10年で5倍近くに増えた。背景には女性が置かれた社会・文化的な条件や、同じ量の薬物を使っても女性の方がより速く影響を受ける生理的な傾向がある(要約)」というものだった。

 筆者はこの記事を読んで、あるヤクザの姐さんを思い出した。彼女は短期間ながら派手にシャブの密売に手を染めていた。その一方で「女にはゼッタイにシャブを売らへん! これがうちのルールや!」と不思議なことを言い続けていたのだ。【瀬戸晴海/元厚生労働省麻薬取締部部長】

 彼女は長身で、色白かつ細面の美人。潤んだ瞳と艶っぽい雰囲気から、当時の業界では“美々姐(びびねえ/仮称)”と呼ばれていた。ある大阪の組長が、東京・銀座のクラブで働いていた彼女に一目惚れし、半ば強引に大阪まで連れ帰ったという。

 漢気さえ感じさせる彼女のさばけた性格は、すぐに組の若い衆を虜にした。実際、多くの組員が親分以上に彼女を慕っていたそうだ。服役中の親分に代わって組を切り盛りし、小規模ながら、自ら札師となって盆(賭場)を差配していたこともあったとか。だが、山一抗争の終結直前に親分が変死を遂げ、警察からの厳しい取り締まりも相まって組は壊滅することとなった。

 それから少し経ってからのことだ。彼女が若い衆を連れて“シャブ屋”に転身したという情報が出回った。シャブで有名になれば、近畿厚生局麻薬取締部、通称「キンマ」で薬物捜査に従事していた筆者の知るところとなる。

「美々姐のところ、グラム単位でいいネタ出しとる。量は正味や……。顔見知りにはツケでも出してくれる。でも、“女にはゼッタイに売らへん、これはルールや”と妙なことを言っているらしいで」

 そんな情報を耳にして、「女には薬物を売らない……。それは意図的なのか。では、どんな意図があるのだろうか」と、筆者は俄然興味をかきたてられた。そこで彼女に対する捜査を開始したのだった。

次ページ:「あんた、ほんま熱心だね。また今度ね」

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