スノーボード「小野光希」がミラノ五輪でメダリストになれた理由 日本勢のメダルラッシュで「一気に集中力が高まりました」
心理学やトリックの研究で、強さを身につける
その一方、国内外への転戦が続く多忙な日々を過ごしながら、大学の勉強にも熱心に励み、必修だった英語のディベートでは、深夜の遠征先で回線を繋ぎ、オンラインのグループディスカッションに臨んだことも。「スポーツ心理学」では、メンタルトレーニングやマインドセットの手法を体系的に学び、それらの経験は、自ずと試合に向かう際に気持ちの余裕を生み出したという。
ミラノ・コルティナ五輪の出場をかけ、熾烈な代表争いが繰り広げられる2025-26年シーズン中には、遠征の合間を縫いながら卒業論文の制作にも着手。
自身が五輪で使うであろう3つのトリックに焦点を当て、男子日本代表選手がそれらに取り組む動画を元にして、身体の動きや仕組みの解明に励んだ研究は、高い評価を得ることに。トリックの的確な解析は、自身の技の精度を高めることにも繋がった。
その甲斐もあって、小野選手はミラノ・コルティナ五輪の日本代表に選出され、自身2度目の本戦出場を決めた。
「『フロントサイド』は720(2回転)から1080(3回転)まで持っていけましたし、この一年間で、大きく進歩したんじゃないかなと思います」
小野光希の滑りを見せよう
確かな手応えとともに幕を開けた五輪は、スノーボードチームのメダルラッシュが連日報道された。
「(計3つのメダルを獲得した)男子ビッグエアや女子ハーフパイプの試合結果を見て、『いよいよ五輪が始まった……』と、一気にスイッチが切り替わり、一気にメダル獲得に向けて、集中力が高まりました」
小野選手にとって自身2度目の五輪は、前回大会とは対照的な滑り出しとなった。上位12選手が決勝に進出する予選は、思うように点数が伸ばせず。日本勢では最下位の11位で、決勝に駒を進めた。
コーチらと「小野光希の滑りを見せよう」と話し合って臨んだ決勝では、1本目で長い時間をかけて磨き続けた「フロントサイド1080テールグラブ」や「フロントサイド960」を成功させ、85.00点をマークし、2位で幸先の良い滑り出しを見せる。
さらなる上位進出を目指して挑んだ2本目は、惜しくも転倒。予選で下位だった小野選手は、ライバルたちに先んじて、勝負の行方を左右する最後のランに臨んだ。
「私もビックリしたのが、モーグルとかは、たった1本の滑走で順位が決まっちゃうみたいで。それを考えると、私は結構多くのチャンスをもらえていると思う。3本目とか、結果のことはあまり考えず、『とにかく滑りのことだけを……』と意識しながら、スタートラインに立ちました」
だが、3本目は最後の「フロントサイド1080テールグラブ」で転倒。
「私にとって一番良い勝ち方は、他の人も良い演技を見せて、その上で私の順位が上回っていること」
そう話す小野選手は、自身の得点超えに挑む上位選手の滑走を見守ることに。1つ順位を落としたものの、3位で大会を終え、銅メダルを獲得。見事に4年前の雪辱を果たした。
「『スイッチバック』など、逆方向のルーティーンをいち早く取り入れて、練習してきたことが大きかったと思う。結果として、これらを成功させた3人がメダリストになっていますし、作戦勝ちだったのかな」
メダル獲得の理由をそう振り返る小野選手は、「今後は『ダブルコーク』(回転軸をずらしながら、縦に2回転、横に3回転)や連続技にも挑戦してみたい」と、今後に向けた意欲も覗かせる。
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