「PG12指定の殺戮シーン」「上映時間82分」でもヒット! 怪作「名無し」は俳優・佐藤二朗の新たな代表作となるか
凄みを増す佐藤の演技
幼少期から花子以外の人と関わらず、ろくに言葉を発することもない生活を送りながら、ようやく手に入れたささやかな幸せ――それを失う反動は、壮絶だ。
「自分が持つ“神の手”の能力を悪用し、次々と無差別殺人事件を起こすのです。顔色を変えることもなく、まるで単純作業を繰り返すように人を殺めていく。逃走中もろうそくの炎をぼんやり見つめながら、まったく感情を露呈しない。警察はなかなかその行動を読めず、捜査が難航します」(映画業界関係者)
ところが、かつて太郎が起こしたある事件がきっかけで捜査が進展し、意外な人間関係も明らかになる。
「そして迎えたラストシーンは意味深で、含みを持たせていました。犯行を重ねる太郎は、かなり中途半端な髪形をしていますが、その髪形も佐藤さんのアイデアだったとか。いずれにせよ、佐藤さんはまた、ハマり役に出会うことになりました」(同)
これまで、数々の映像作品で活躍していた佐藤。ヒットメーカーである福田雄一監督(57)作品の「銀魂」シリーズ、「今日から俺は!! 劇場版」(20年)、「新解釈・三國志」(同前)、「アンダーニンジャ」(25年)ではコミカルなキャラクターを演じることが多く、「明るくておもしろいオジサン」というパブリックイメージを持たれていたはず。
しかし、昨年公開の映画「爆弾」でその評価は一変する。
「佐藤さんが演じたのは、微罪で逮捕されたうだつの上がらない中年男で、自称・スズキタゴサク役。しかし、実はその正体は連続爆弾魔。取調室では、心理戦や絶妙な駆け引きで、取り調べにあたった刑事たちを翻弄し、捜査は難航します。ただ、『名無し』で演じた役と違い、冗舌で感情の起伏も激しい役でした」(同前)
佐藤は同作の怪演により、「第50回報知映画賞」の助演男優賞、「第68回ブルーリボン賞」の助演男優賞など、ほぼ国内の映画賞を総なめにした。
「佐藤さん自身、2本目の監督作品となった『はるヲうるひと』(21年)で演じたのは、架空の島にある置屋の粗暴なオーナー役。娼婦たちに過酷な生活を強いるだけではなく、時には自分の妹にも行為を強要するなど、とんでもない役柄でした。しかし、コロナ禍の上映だったこともあり、あまり話題にならず、集客に苦戦しました。ですが、この作品を見ている人は、その後の『爆弾』、『名無し』とバージョンアップした佐藤さんのダークな役の変化に感嘆させられるはずです」(映画担当記者)
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