孤立進む「トランプ氏の米国」…欧州でロシアの次に嫌われ、キューバ侵攻で狙う“イランの穴埋め”

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欧州では中国よりも嫌われて

 トランプ政権は北の隣国カナダにも「塩対応」だ。米国防省は18日、86年間続けてきたカナダとの永久合同防衛委員会(PJBD)への参加を中断すると発表した。

 今年1月、スイス・ダボスでの世界経済フォーラムに出席したカナダのカーニー首相が、米国など強大国に対抗して中堅国は団結すべきとする趣旨の演説を行ったことに対する報復措置との見方が出ている。

 PJBDは第2次世界大戦中の1940年8月に設立され、以来、米カナダ両国の防衛協力の中核として機能してきた。だが、トランプ政権2期目発足後は1度も開催されていなかった。ドンロー主義の下、米国はカナダの意向に関係なく、北米大陸の防衛政策を独断で構築していく腹積もりなのだろう。

 ドンロー主義をまい進する米国への評価は、欧州でもがた落ちだ。

 11日に発表された欧州連合(EU)の世論調査(ユーロバロメーター)で、米国に対する否定的な意見は74%に急増し、前回調査(昨年10~11月に実施)から14ポイント上昇した。ロシア(83%)ほどではないが、中国(61%)より嫌われているのだから驚きだ。

 この傾向を受け、これまで親密な関係にあった欧州の右派勢力も、支持率の低下を恐れてトランプ政権と距離を置き始めているほどだ。

AI政策巡り支持層との間に亀裂

 国際的に孤立する感があるトランプ政権だが、国内でも問題が山積だ。人工知能(AI)政策を巡り、テック企業とトランプ氏の支持層(MAGA)の間の亀裂が鮮明になっている。

 トランプ氏は21日、中国など他国をリードする妨げになるようなことはしたくないと述べ、最先端のAIの安全対策に関する大統領令への署名を延期した。

 複数のテック企業幹部からの要請に応えた形だが、MAGAはこれに不満だ。米ニュースサイトのアクシオスは18日、元ホワイトハウス主席戦略官のスティーブ・バノン氏を始めとするMAGA陣営の要人らがホワイトハウスに書簡を送り、強力なAIモデルが公開される前に政府の検証と承認が必要と訴えたことを報じていた。

 AIデータセンターへの風当たりも強くなる一方だ。

 米世論調査企業ギャラップが13日に発表した調査結果では、地元でのAIデータセンター建設について「ある程度反対」「強く反対」の回答が計71%に達した。データセンター反対の動きはAI開発のメッカであるテキサス州にも波及しており、今後、AI主導の経済成長モデルが破綻するリスクが生じている。

共和党も激怒する露骨な施策

 トランプ氏と与党・共和党との不協和音も目立ってきている。

 米上院共和党は21日、トランプ氏が提案した、政府による「司法の武器化」の「被害者」に対する約18億ドル(約2900億円)の補償基金の創設に待ったをかけた。

 同基金は、バイデン前政権による不当な捜査(司法の武器化)で被害を受けたとされる米国民が対象で、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件で有罪判決を受けた人々も対象に含まれている。

 このトランプ氏の露骨な支持者向け施策に共和党幹部は激怒しており、中間選挙を半年後に控えた今、政権運営の新たな火種となる可能性がある。

 このように、トランプ氏自身が国内外で対立の火種となる傾向が強まっている。悩める超大国の行く末は、ますます危うくなっているのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

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