「『愛子さま人気』で国の制度が左右されてはならない」 「愛子天皇」論者が根本的に誤解しているポイントとは

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【前後編の後編/前編からの続き】

 今国会での成立を目指す「皇室典範改正」に向けた議論が、大きく加速するかもしれない。今月15日の与野党協議で、ようやく各党の見解が出そろうのだ。ちまたでは「愛子天皇」を待ち望む声が上がり大論争となっている中、見過ごされがちな議論の核心があった。

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 前編では、「愛子天皇」を支持する論者に対する、専門家の見解を紹介した。

 歴史社会学を専門とする神戸学院大学准教授の鈴木洋仁氏は、「愛子さま人気」を背景に皇位継承に関する議論が進むことを危惧しているという。

「皇位継承という国の在り方に関わる制度を議論する上で、“愛子さまは素晴らしいから天皇になるべき”という属人的な話にすり替わってしまっているのは問題です。例えば、愛子さまが毀誉褒貶(きよほうへん)あるような方と結婚を希望されるとなれば、今の天皇待望論は出ていたでしょうか。国の制度や仕組みが、個人の人気に左右されて“この人ならOK、あの人だったらNG”となってしまったら、法治国家としては成り立ちません」

 皇位継承者は“人気投票”のような形で決められるものではないとして、鈴木氏が続ける。

「人気に流されるような極めて曖昧な世論が、その時々で天皇になるのをOKかNGかを決めてしまえば、皇位継承の正統性が問われます。確かに日本は民主主義の国ですから、総理大臣や政治家のように選挙を行うという考え方もあるかもしれません。でも、そのような選び方をしていたら、とても皇統は126代も持たなかったと思います」

根本的な誤解

 そもそも、愛子天皇が声高に叫ばれている背景には、皇位継承の仕組みに対する根本的な誤解があるという。

 歴史家で国士舘大学客員教授の八幡和郎氏によれば、

「愛子天皇を待望する人がいても構いませんが、制度を理解せず間違った解釈を前提に主張している人が多いように見受けられます。20年も前から国会で議論が始まり、特例法や有識者会議が設けられてきた経緯を踏まえれば、次の天皇は愛子さまという議論は国会で成り立ちません」

 典範改正までして悠仁さまを排することは、国際的にも非常識だとして、

「日本と同様に王室を抱える欧州では、王位継承で男女を平等に扱う動きがありますが、制度を変更してもすでに生まれている子については適用しないのが原則です。例外はスウェーデン王室で、長女を王嗣だと思っていたところに王子が生まれた。変更するなら王子が物心つく前にということで、男児の生後6カ月後、王女を優先することに決まっています」

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