「銀河の一票」を明るい「選挙ドラマ」と思っていたら…黒木華×野呂佳代の物語に潜む“不朽の名作”

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犠牲心が重なる

 カンパネルラの個性を表す代表的な言葉はこうだ。

「ぼくのおっかさんが、ほんとうに幸(さいわい)になるなら、どんなことでもする」

 カンパネルラは生死不明の母親のためなら、どんな犠牲も惜しまないと誓う。母親に対してのみならず、自己犠牲を厭わない少年だった。そこに幸せがあると信じていた。ジョバンニは強い影響を受ける。

 あかりもカンパネルラと同じく、明るいのは表向き。痛恨の過去がある。その一端を第2回で見せた。「なんで、なんで……」と、うなされながら自室で目をさまし、直後に頭の中でこう漏らす。

「お別れの夢を見た朝は『良かった、夢だった』と安心して。1秒後、夢じゃないって思い出して……」

 部屋には骨壷と「きょうから、あかりちゃんがママ」と弾んだ文字で書かれた紙。さらに脳裏に「実録ルポ 女子中学生自殺未遂」と書かれた文字が浮かぶ。あかりには大切な存在を失った過去があるらしい。

 だから、「動かないと、誰かの役に立たないと」と思い続けている。強い思いがあるから、自分を犠牲にしてでも他人のためになろうとしている。

 第1回での茉莉との出会いもそうだった。ある日の夜、茉莉が母親の瑠璃からもらったミニライトのキーホルダーを路上で落としてしまい、探していると、あかりが近づいてきた。

「なんか落とした?」

 2人は初対面だったが、一緒にミニライトを探し始めた。しかも、鷹臣に呼び出された茉莉が帰宅後もあかりは探し続ける。そして見つけた。

 どれだけの時間を費やしたことか。あかりは犠牲心の塊である。カンパネルラと違うとしたら、あかりは自己犠牲が自分に課せられた罰だと思い込んでいるところだ。

 ジョバンニとカンパネルラが銀河鉄道に乗って旅に出るのは星祭りの夜。選挙も裏では祭りとも表現される。大物議員やタレントらの応援弁士を呼んで熱狂を生み出し、選対関係者によっては必勝の鉢巻きを締める。当選祝賀会では樽酒の鏡開きもある。やはり祭りなのだ。なにより、祭りも選挙もハレの日(非日常の特別な日)である。

 ジョバンニとカムパネルラが銀河を走る汽車内で出会ったのは鳥捕り、車掌、燈台守ら。一行は既に死んでいる。日常生活では会えない。

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