アジアで優勝、プレイヤーから審査員に 朝ドラでも流れた南里沙のクロマチックハーモニカ
レコーディング時の空気や香り
改めて作品として世に出たアルバムなどを聴き返すと、当時の思いが蘇ってくるという。
「アルバムは練って練って創り上げていきますが、振り返って聴くと、その時の空気や香り、本当にいろんなものを思い出すんです。当時の私のベストというものを出し尽くしているわけですが、出し尽くすというのはなかなか大変な作業です。でも同時にそれは一番好きな作業かもしれません」
特に最初のアルバムでは自身が思い描く音色のイメージと、出来上がってきたものの音色のイメージの差に懊悩したと明かす。
「自分が思っている音と、ミックスで上がってきたものの音。その違いをどうスタッフさんに言葉で伝えたらいいのか、という難しさがありました。一般にあるクロマチックハーモニカのイメージと私の持つイメージのすり合わせが必要な部分が多くて、地元の神戸から何度東京まで通ったことか。今ならもう少し的確に言えたと思いますが、当時の私は何をどうしたらいいかをうまく伝えられなくて。でも伝えなきゃいけなくて。本当にスタッフの皆さんにはよくしていただきました」
その苦労があったからこそ、作品は広く聴かれることにつながった。
コロナ禍ではYouTubeでつながれるありがたさを実感
2020年からの新型コロナウイルス禍は、メジャーデビュー後の多忙ゆえに遠のいていたYouTubeのありがたさを、改めて実感したという。
「コロナ禍では演奏の場もなくなり、皆さんと会える場もなくなりました。だからまたYouTubeを一生懸命やろうと。これなら皆さんに聴いてもらって楽しんでもらえる、と思ったんですね。YouTubeを始めた当初は、夜に作品をアップロードしようとしても明け方になってもまだアップが終わっていない、というような状況がありましたが、今は生配信もできる時代。コロナ禍に生配信を週に1度の頻度で始めるようになりました。今は250以上の演奏がYouTubeに上がっています」
それらの動画から「南里沙」にたどり着く人の多さにも驚いたという。近年は若年層に利用者が多いTikTok向けの配信も始め、そこでクロマチックハーモニカを知ってコンサートに訪れた若いファンもいた。
「だからこうして自分から動いていくことは大事なんだなと改めて思いました。特にクロマチックハーモニカというのはまだまだ知られていない面も多くて、まずは知ってもらう、そこから演奏してみたいって思ってもらうことが大事かなと思います」
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