「時すでにおスシ!?」が40代以下のコア視聴率トップ 「日常」を描いた物語が高い評価を得ている理由
日常を描くドラマに回帰
永作博美(55)が主演するTBSの連続ドラマ「時すでにおスシ!?」(火曜午後10時)が評判高く、人気も得ている。テレビ界の指標である個人視聴率が全ドラマの中で3位。ドラマ制作者によると、40代以下のコア視聴率はトップだった。一見、オーソドックスな物語だが、脚本に隙がなく、考え抜かれており、同業者のドラマ制作者の評価も高い。
【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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【写真】とても“50代”には見えない…美脚スラリ、奇跡の神スタイル、ミニスカ姿の永作博美
最近のドラマは非日常的な物語が大半だ。春ドラマも転生やタイムリープ、殺人事件の捜査、選挙の内幕などが描かれている。一方で「時すでにおスシ!?」はすぐ隣にありそうな物語。だが、高い人気と評価を得ている。
4月28日放送の第4話の個人視聴率は3.2%。全ドラマの中で3位(4月第5週、同27~5月3日)である。1位はテレビ朝日「未解決の女 警視庁文書捜査官3」の4.6%、2位はTBS「日曜劇場 GIFT」の4.1%だった。
着目すべきは40代以下のコア視聴率。この作品がトップなのだ。若い視聴者にもよく見られている表れである。視聴者ニーズが日常ドラマにも向き始めたのだろう。
日常を描くドラマの象徴だったTBS「渡る世間は鬼ばかり」の終了から15年が過ぎた。そのころから非日常的な物語が主流になった。非日常的な物語は刺激的だし、考察要素も入れやすい。
しかし、現代人の憂鬱や身の回りにある問題を投影しづらい。そんな非日常的物語のウィークポイントが、「時すでにおスシ!?」には全てある。
主な登場人物は「鮨アカデミー」の生徒5人と担任講師。5人は年齢も立場もバラバラだが、徐々に心を寄せ合う。講師は教えることに全力を傾けている。そこは学校もどきでなく、まさしく学校だ。
この作品の制作者は夜間中学のさまざまな生徒たちの友情や悩み、愛を描いた山田洋次監督の名作映画「学校」(1993年)を視野に入れていたのではないか。学校を舞台にしないと描けない物語がある。
「鮨アカデミー」の最年長生徒は元社長の立石船男(佐野史郎)。豊かな老後を送っており、習い事マニアだ。2番目の年長者が主人公でスーパー店員の待山みなと(永作博美)。50歳。夫の航(後藤淳平)を14年前に事故で亡くしている。
みなとは朗らかで笑顔を絶やさないが、喪失感はいまだ癒えていない。一番の話し相手は航の遺影だ。1人息子の渚(中沢元紀)は就職して家を出たから、淋しさが増している。もっとも、本人はそのことを自覚できていない。
みなとと航は事故の朝、ささいなことで衝突した。航はそのまま無言で家を出た。みなとも声を掛けそびれた。直後に航は事故死する。この朝のことをみなとは後悔し続けている。それが基で他人に心を開くことに臆病になった。
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