「台湾有事」発言から半年 中国で加速する日本企業の投資縮小・撤退 慌てる「習近平」は外資撤退「妨害策」を発令し

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身柄拘束の可能性も

 すなわち、長期的に日本企業の“中国離れ”が進む中、それに拍車をかけたのが、昨年の「台湾有事」発言に伴う日中関係の悪化だったと言えよう。

 このようななか、中国の李強首相は4月7日、「産業チェーン・サプライチェーンの安全に関する国務院(内閣)規則」に署名し、同規則は即日施行された。

 この第15条では、「(政府には)外国の組織・個人が中国企業との正常な取引を中断、差別的措置を講じて中国企業のサプライチェーンに損害を与えた場合に、中国政府当局が当事者への質問、関連文書・資料の閲覧・複写等の調査を行うことができる」と定めている。

 具体的には、以下を企業に課すことが可能だ。(1)中国関連輸出入活動従事の禁止・制限、(2)中国国内投資の禁止・制限、(3)中国国内組織・個人によるこれら関連取引・協力等の禁止・制限、(4)関係人員・交通輸送手段の入国禁止・制限、(5)関係者による中国国内就業・逗留・在留資格の取消・制限。

 さらに、第14条では「わが国の産業チェーン、サプライチェーンの安全を損なう行為を実施または実施に協力した場合、国務院(政府)の関係部門は関連措置または行為に対して、産業チェーン・サプライチェーンの安全調査を実施する権限を持つ」との記述がある。この「国務院の関係部門」のなかには「公安部」や「国家安全部」など警察あるいは諜報機関が含まれていることから、これらの機関が捜査を開始した場合、外国企業の幹部・従業員が身柄を拘束され、取り調べを受ける可能性は否定できず、その結果、懲役刑などの刑罰を受けることも考えられる。

 つまり、中国の司法機関が、経済活動などに不利益を与えたとみなす外国企業の幹部や従業員らに対して、身柄を拘束し、出国を禁止して、取り調べるということも可能になる。

 規則には、具体的な事例が明記されていないので、適用範囲は極めて広範であり、中国側の解釈次第で「規則」が運用され、当事者が身柄を拘束される可能性は低くないとみられる。

日本企業の撤退を妨害

 中国に進出している日本企業は2024年時点で約1万3034社にのぼる。日本企業は広東省や江蘇省、浙江省、山東省、遼寧省などに進出し、工場を建設し、それらで作られた製品は中国国内でも多数流通している。

 それらの日本企業が相次いで中国から撤退すれば、その企業で製造された部品を使って製品を組み立てていた中国企業にとっては大きな痛手であり、それこそ、中国の産業サプライチェーンに打撃を与えかねない。

 この意味からも、李強首相がこのタイミングで、サプライチェーンの安全に関する規則を施行したのは、中国から日本企業を含む外資の撤退を防ぐ、あるいは「妨害する」との意図があるのではないだろうか。

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