“日本の結婚式を一変”させた「ダイアナ・フィーバー」を振り返る! 悲劇のプリンセス“日の丸ドレス”も披露した初来日から40年

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日の丸を模したドレスで登場!

 5月8日の夜、チャールズ皇太子と来日したダイアナ妃は、文字通り、大フィーバーを巻き起こした。初日に泊まった京都の大宮御所の周囲は6000人のギャラリーが取り囲み、5月10日に東上し、11日昼に青山通りをパレードすると、ダイアナ妃見たさに沿道には概算で約9万2000人が集結。この模様はNHKと、テレビ東京を除く民放各局が生中継したが、そちらの視聴率を足すとじつに69.4%。7000万人近くが、このパレードをテレビで観たことになる(※トップはNHKの28.7%)。

 だが、それに留まらず衆目を集めたのが、ダイアナ妃の屈託のない応対ぶりと、その興味の深さだった。

 来日の翌朝、修学院離宮(京都)内の美しい滝を見ると、お付きが持っていたカメラを受け取り、自分でシャッターを押した。しかも着ていたのは、伝説とされる白地に赤い水玉模様のドレス、通称「日の丸ドレス」で、「自分で今回(訪日)のために選んだのです」とニッコリ。職人が3ヵ月かけて作ったオリジナルの振り袖を京都府から贈られると、その日の丸ドレスの上から着込むサービスも。

「鹿威し」の音が美しい山荘「詩仙堂」では、出迎えた住職の孫たちに笑顔を見せ、夜に食事をした料亭では、出された野菜サラダを全て食すと、内緒で隣にいた大使の皿と取り換え、計2人前食べ、帰り際、お腹をさすって、

「Too much eat(笑)」(食べ過ぎたわ)。

 5月10日昼、専用機で東京に移動。肌寒さを日本の関係者が心配すると、「心はいつもホットですから」と粋な返答をし、相撲観戦では、「本当に全部筋肉なのですか?」と小錦のお腹をつつき(11日)、歌舞伎(「勧進帳」)鑑賞後、弁慶役に「衣装が(白と黒で)お揃いですね」と振られると、「私の(衣装)は軽いけど、あなたは大変でしょう?」とダイアナ・スマイルで返答した(12日)。

 離日直前の最後の晩餐会では深みのあるロイヤルブルーのドレスを着たが、これは日本のデザイナー、鳥丸軍雪にわざわざ頼んだもので、「海外ではディナー・パーティーというと華美なファッションが目立つが、日本では落ち着いたもの」という助言を聞き入れた形だった。極めつけは、日産自動車の工場を訪れた際、ミニカーを2ダース、プレゼントされた時のこと(12日)、笑顔でこう答えた。

「こんなに頂けるなら、王子をもっと産まなきゃいけませんわ」

自室には日本の版画も

 既に2人の子供を産んでいたダイアナ妃だったが、幸せは続かなかった。チャールズ皇太子が婚姻時より、現カミラ夫人と不倫をしていたのは知られるところだが、ダイアナ自身はより輝くことに。慈善事業に注力するようになっていったのだ。地雷撤去キャンペーンや各種福祉活動への参加はもとより、心ならずもエイズを罹患した子どもたちを手袋を外した素手で抱き上げたのは有名なシーンである。自分が表立って活動することで博愛の情を示せるのは勿論、世界中から募金を集められることに気付いたのだ。

 日本にはその後、1990年と95年に2度来日。前者は即位の礼への夫妻での出席だったが、後者の時点では、既にその3年前からチャールズ皇太子と別居し、単独での来日だった(※1996年に離婚)。

 ロイヤルブルーのドレスを作った鳥丸軍雪には後に、「ウェストを2センチ延ばして欲しい」と連絡があった。気に入っていたのだ。外務省関係者の以下の発言もある。

〈「ダイアナ元妃は京都が大変お気に召したそうです。帰国してからも、京都の話を至るところでしていたみたいですね」〉(「女性セブン」2010年12月23日号)

 英国のダイアナ個人の執務室には、来日中に買い求めた日本の版画がかけられていた。それは、奈良と、瀬戸内海の光景であった。3度目の訪日を決めたのは、ダイアナ自身だった。その2年前、「個人的活動はさておき、公的行事からは身を引く」と公表していたが、日本には来た。公的行事引退宣言後、初めての本格的な海外訪問でもあった(当時の役職は英国赤十字社副総裁)。日本に降り立ったのは、阪神大震災から3週間も経っていなかった1995年2月6日。同地を慰問し、募金を世界中から集めたかったのだという。結局、現地の惨状ゆえ慰問はかなわず、赤十字の活動に腐心していた。

 ダイアナはこの2年後、交通事故死する。この3度目の来日の際の言葉が、日本への最後のメッセージとなっている。

「私の心は、常に被災者の方々とともにあります」

瑞 佐富郎
プロレス&格闘技ライター。早稲田大学政治経済学部卒。近著「10・9 プロレスのいちばん熱い日」(スタンダーズ)が重版出来中。雑学にも通じており、「世界の国々 おもしろクイズ1000」(メイツ出版)においては、ほぼ全問を作成及び執筆している。

デイリー新潮編集部

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