憧れの「零士メーター」に囲まれる愉悦…イマーシブ映像で「銀河鉄道999」が復活 巨匠「松本零士」が夢見た映像体験を徹底解説

エンタメ

  • ブックマーク

城達也の名ナレーションも、そのままに

 鉄郎とメーテルとの別れのシーンだ。999号で旅立つメーテル、ホームを走って追う鉄郎。映画制作時、セリフ入れのスタジオで、声優やスタッフが感極まってしまい、なかなかOKが出なかったといわれる、アニメーション史上にのこる名場面である。

「ここも、オリジナル映画どおりに描かれますが、映像がさらにスケールアップしており、しかも城達也の名ナレーションも、そのまま流れます。往年のファンは、泣くでしょう。そのあと、ゴダイゴのテーマ曲となるのですが……このあたりは、もうことばもありませんので、とにかく観てくださいとしか、いいようがありません。なお映像音楽は、新たに川井憲次氏が作曲しており、これも素晴らしい響きです」

 というわけで、今回の映像は、初めて「銀河鉄道999」に触れる若い方々でも感動できる、見事な“再創造”であるという。

「しかし、その一方で、往年のファンのことも忘れていない点が、うれしかったです。いまではオヤジとなったかつてのファンが、『これを観たかったんだよ』と喜ぶ声が聞こえてきそうです」

 隣接するほかの会場では、名セリフや関連資料の展示などもあり、総合的に「999」の世界を楽しめるようになっているという。

 かつて、映画「スター・ウォーズ」第1作(1977、現「エピソードIV:New Hope 」)は、アメリカ公開から日本公開まで1年のタイムラグがあった。その間、アメリカから、すごい映画だとの噂ばかりが続々伝わってくる。がまんできなくなった日本の映画・SF関係者は、いちばん近いハワイの映画館へ詰めかけた。

 松本零士氏も、ハワイへ観に行ったひとりである。そのときの感想を、のちに、こう語っていた。

「冒頭、巨大な宇宙戦艦、スター・デストロイヤーが観客の頭上をかすめるようにしてスクリーン内に飛び込んできますね。あれを観て、とにかくおどろきました。実は、ああいう映像を、前からアニメーションでやりたかったんです。しかし〈絵〉でやると、どうしても迫力がいまひとつなんですね。あの映画は、すでに一部で、コンピューターも駆使されていたようですが、とてもうらやましいというか、悔しかった思い出があります」

 今回の映像《銀河鉄道999 THE GALAXY EXPERIENCE》は、その「悔しかった」映像を、見事に実現しているどころか、全編が、それで成立しているといっても過言ではない。もし松本零士氏がご存命だったら、どんなに感激し、喜んでくれたことだろうか。

森重良太(もりしげ・りょうた)
1958年生まれ。週刊新潮記者を皮切りに、新潮社で42年間、編集者をつとめ、現在はフリー。10年以上にわたって松本零士氏の超大作「ニーベルングの指環」を担当した。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。