「スー・チーさんは本当に生きているの…?」AI疑惑も浮上する“5年ぶり写真”にミャンマー国民の動揺

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“稚拙なAI”とされたポイントは

 ミャンマー内では、生成AIに詳しい若者たちの解析がはじまった。

「膝の上にズームインすると、指が溶けたようにくっついていて、明確な関節や構造がない」

「警察の肩のパッチの文字間隔にエラーがあります。『Police』が『Polic e』になっている」

“国軍の生成AI技術の稚拙さ”を指摘し、鬼の首をとったような勢いの投稿があふれはじめる。

 この状況を打ち消そうとしたのか、新たな画像がSNS上に出てきた。出所が不明だが、スー・チー氏が警察幹部と会っている別アングルのもので、防犯カメラ(CCTV)の動画をスクリーンショットで撮ったもののようだ。これに対してもAI疑惑が広まっている。

 スー・チー氏は存命なのか──。その真偽はなかなか判然としない。

国軍の狙い通り? ヤンゴン市民の意外な反応

 ヤンゴンで市民の声を聞いてみた。国軍の弾圧や民主派・少数民族軍と国軍の内戦に無関心だという女性のMさん(21)はこういう。

「えッ、スー・チーさんは生きていたんですか。最近はまったく目にしないから、もう亡くなったと思ってました。高齢ですし」

 市内で茶店を営むMさん(55)も、「存命だったんですか。住居軟禁……それはよかった。刑務所の環境は劣悪ですから」といった反応だった。

 市民は意外なほど冷淡だった。かつて、クーデターに抗議する市民はスー・チー氏の顔写真を掲げて路上デモの隊列を組んだ。彼女は民主化のカリスマだった。その熱は冷め、存在感も薄くなっていた。クーデターから5年、スー・チー氏の動向はほとんど知らされないなかで、民主化の象徴は風化しつつあるのだろうか。それが国軍の狙いだったということか。

 しかしスー・チー氏の動向を気にかけていた市民もいる。雑貨屋を営むAさん(50)は、政権の発表の裏を読もうとする。

「スー・チー氏は存命だと思っていました。しかし4月中旬のティンジャンの恩赦のとき、悪い予感がしたんです。この恩赦では、クーデター時に民主化政権の大統領だったウィン・ミン氏が釈放されたんです。スー・チー氏も刑期が短くなったと聞きましたが、まったく詳細がわからない。ひょっとしたらって……。心臓が悪いっていう話でしたし。だからスー・チー氏には触れなかった。今回は中国やタイなどの圧力もあって、生きていたときの写真を公表したんじゃないかって」

 その後、中国の王毅外相は、スー・チー氏と実際に面会したという未確認情報が独立系メディアから報じられた。これについてもAさんは訝し気だ。

「情報の出方がなにか変なんです。タイミングがね。死亡しているという噂をなんとか抑えようとしているっていうか……」

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